interview
聞きたい
最後のGBGB
香川誠さんに聞くVol.1
2023.06.06
ロックバンド「ROGUE」が呼びかけ、音楽の力で福祉に貢献しようと願うアーティストが集うチャリティーライブ「GBGB」のファイナル公演が6月10、11の2日間、グリーンドーム前橋で開かれます。旗振り役のギタリスト、香川誠さんに“卒業式”に臨む思いを聞きました。(昨年5月と今年5月に単独インタビューした内容を再編集しました)
カッコいいからギターやる
―香川さんが音楽に目覚めたのはいつでしょう。
小学校の高学年のとき、おじさんがギターやっていて、内緒で触っていた。耳で音を探っていた。ベンチャーズとか聴くようになりましたね。
中学になると、不良っぽい女の子が洋楽の本を持ってきて、ロックスターの写真を見ていた。カッコいい。じゃあ、やるかな。
おとなしそうな女の子はフォークが好きだという。じゃあ、フォークもやるか。動機はそれ。カッコいいと見えるかです。
エレキは音を立てずに演奏できるので、部屋で何時間も演奏していても、親からは「誠はよく勉強やっているな」と思われていた(笑)。
Charが世の中に出てきて、すごくカッコよかった。耳に羽根のイヤリングをするんですね。真似して鏡をみたら愕然とした。野球部だったので坊主頭。似合わないよね(笑)
―本格的に演奏するのは高校に入ってから?
新島学園は当時、私服だった。Gパンも大丈夫。髪型もうるさく言われなかった。2個上の布袋(寅泰)クンは髪の毛があまりに長過ぎて注意され、「イエス様も長いじゃないか」と食って掛かったけど(笑)
―ライブもしましたか?
前橋市内のカワイ楽器で2カ月に1度、アマチュアコンテストがあって、同級生と組んだバンドでそれに出ていた。
仲間が増え、不良のカルチャーに染まっていった。高2からオートバイに乗って、酒飲んで。「パブゴールド」とか、よく行きましたね。ステージで演奏もした。もう、時効でしょ(笑)。
前橋の街中は活気があったな。デパートもあったし、女子高生が街中にくるから男どもが群がって。いまじゃ考えられないね。
おしゃれで才能あった奥野
―運命の男、奥野敦士さんと出会います。
高1からの知り合い。当時から尖がっていたね。流行の最先端を追う男だった。テクノカットにしてメガネかけたり、人民服を着たり。ベスパに乗っていたな。仲間の中では一番おしゃれだった。
卒業して東京の音響の専門学校に行ったら、奥野が隣のクラス。学校はあまり通わず、ディスコに行ったりして一緒に遊んだ。
ゴールデンウイークが過ぎて、何しに来たんだろうと考え、じゃあ、バンドやろうかと組んだのがROGUE。
デモテープ作ってライブハウスに持ち込んだ。何とか演奏できるようになったら、専門学校の仲間に声をかけ、昼間のライブに80人を動員した。ライブハウスの人は『お前らすごいな』と驚いた。そう錯覚させて、いまに至る、です。
解散、「お前とは一生会わない」
―結成から3年後の1985年にはメジャーデビューを果たしました。
何回かメンバーチェンジがあって、いまのメンバーになってから。バブルの真っ盛りで、僕らもデビューできました。バブルってすごいのは金がなくても酒を飲める。また、バブルが来ないかな。
日本武道館で単独ライブやって、海外でレコーディングして、ニューヨークでライブもやった。やることやったなという感じになり、原点に立ち返りたい、という気持ちになった。そこで、奥野と他のメンバーで違いが出てきた。
―音楽性の違い?
奥野は才能があり、器用だから、ソロでやりたかった。俳優にもなったしね。
俺たち3人はバンドをしたかった。バンドって、互いに補填し合えるのがいいんだ。仲間ノリでいられるからね。
奥野に呼び出され、昼から酒飲みながら話し合ったけど、最後は大げんか。その時点で解散。こいつと2度と一緒にやりたくない、ツアーとかしたくないから活動休止でなく解散。「お前とは一生合わない」って言ってやった。
FINAL GBGB
・期日 6月10(土)、11(日)
・時間 開場10時、開演11時30分
・会場 グリーンドーム前橋
・料金 単日9800円、通し18000円
・販売 チケットぴあ、イープラス、ローソン
・主催 LLP信誠会(http://gbgb.jp/contact/)
ROGUE(ローグ)
1982年結成。前橋市出身の奥野敦士(ボーカル)、香川誠(ギター)、深澤靖明(ドラム)に85年、西山史晃(ベース)が加わり、メジャーデビューする。89年、日本武道館で単独ライブを開き、90年に解散。2013年、23年ぶりに再結成する。