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前橋で生まれた青春映画
『青の帰り道』が帰ってくる
2025.11.06
前橋で撮られ、前橋で育った映画がある。『青の帰り道』だ。制作会社BABEL LABEL(東京都)が15周年を機に、ゆかりのあるミニシアターへ「ありがとう」を伝えに行く全国キャラバンを始めた。その12カ所目が前橋シネマハウス。11月8日~14日、同作を含む3本が上映される。
あの日、この街で泣いた人へ
『青の帰り道』(2018年)は前橋と群馬で撮影された。高校の仲間と過ごした季節。未来に期待していた顔。どうにもならなかった夜。
この街で思春期を生きた人なら、心当たりがあるはずだ。
前橋は逃げ場がなくて、でも離れがたい。
仲間と一緒にいた頃の自分を、簡単には葬れない。
©映画「青の帰り道」製作委員会
監督は東京都出身の藤井道人さん。前橋は地元ではない。それでも、30歳の誕生日にこの街で撮影が始まり、やがて作品の“帰る場所”になった。
途中、一度撮影は止まった。それでも「前橋に戻る」と決めたのは、土地に残った感情の重さだったという。
「受け入れてくれたのは、前橋でした」。 作品は一度息絶え、ここで生まれ直した。
©映画「青の帰り道」製作委員会
映画は終わっていない
公開後、前橋シネマハウスは上映を重ね、ロケ地マップを作り、観客は街を歩いた。映画を育てたのは、観た人だった。
この街で青春を過ごした人の、あのどうしようもない熱と痛みが、作品の呼吸になった。
今回、BABEL LABELは15周年を迎え、全国を巡る「ミニシアターキャラバン」を開始した。“育ててくれた場所に、ありがとうを伝える旅”だ。前橋を選んだのは必然だった。
「前橋は、作品の故郷だから」
©映画「青の帰り道」製作委員会
上映されるのは、『青の帰り道』、若者のひりつく現実を描く山口健人監督『生きててごめんなさい』、そして藤井監督『ヤクザと家族 The Family』の3作。
11月8日には山口監督が登壇し、観客と直接対話する時間がある。
映画は観終わっても終わらない。あの日の自分を思い出しながら、この街をまた歩いた時から、続きが始まる。
(文・ナラティブディレクション/阿部奈穂子)
全国ミニシアターキャラバン
期間:11月8日~14日
会場:前橋シネマハウス(前橋市千代田町5-1-16)
上映時間:コチラから
上映作品:『青の帰り道』『生きててごめんなさい』『ヤクザと家族 The Family』
舞台挨拶:11月8日『生きててごめんなさい』14時55分の回上映後、山口健人監督登壇
公式:https://retrospective.babel-pro.com/


