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『新潮』 120年の歩み
前橋文学館で記念展始まる
2024.10.05
日露戦争の最中、1904(明治37)年に創刊した月刊『新潮』の歩みを振り返る「現在(いま)を編集する 月刊『新潮』創刊120周年記念展」が10月5日、前橋文学館で始まった。展示室を1冊の本に見立て、500冊のバックナンバーや『新潮』ゆかりの作家からのメッセージなど貴重な資料を公開している。2025年1月26日まで。
三島由紀夫特集の臨時号
展示室入口には『新潮』と同じ目次を巨大化したものが置かれ、展示内容が分かる仕組み。白い布のカーテンに創刊から現在までの主な出来事を記した年表が書かれ、バックナンバーの表紙が壁に埋め込まれるなど意欲的で斬新な展示方法を取っている。
ガラス製のケースには中でも貴重なバックナンバーが展示されている。三島由紀夫が割腹自殺した日の朝に編集者に渡された連載の最終回を掲載した1971年1月臨時号や坂口安吾、伊藤信吉といった本県ゆかりの作家の投稿も見ることができる。
萩原朔太郎全集に並んで、長女の葉子さんの著書、『蕁麻(いらくさ)の家』と『天上の花』も展示されている。
「新潮と私」のコーナーでは谷川俊太郎さんや吉増剛造さんといった作家のメッセージが公開されているほか、芥川賞作家、九段理恵さんのインタビューも壁に印刷されている。
萩原さん、『新潮』編集者が語る
初日の5日はオープニングトークとして、編集長の杉山達哉さん、元編集部の風元正さんと前橋文学館特別館長の萩原朔美さんが鼎談、編集の裏話を交えてユーモアいっぱいに語り合った。
萩原さんは初めて文芸雑誌を手にしたのが母親の書いた『天上の花』が掲載された『新潮』で、「人の小説読んで初めて泣いちゃった」と告白した。
風元さんは葉子さんの担当を長く務め、「私が死んだら朔美に私のことを書かせてと頼まれた。朔美さんの唯一売れた本になった」と回想録『母・萩原葉子との百八十六日』の誕生秘話を明かした。
活字離れが進み、厳しい状況で編集の指揮を執る杉山さんは「『新潮』は楽だった時代がなかった。流行ものに流れるのではなく、自分たちが大事にしているものを守っていきたい」と抱負を述べた。
会期中は三島由紀夫の戯曲を萩原さんが演出したリーディングシアター(11月24日)や九段理恵さんと杉山編集長との対談(12月14日)も予定している。
「現在(いま)を編集する 月刊『新潮』創刊120周年記念展」
- お問合せはこちら
- 027-235-8011
・会期 | 10月5日(土)~2025年1月26日(日) |
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・時間 | 9時~17時 |
・休館 | 水曜、年末年始 |
・観覧 | 一般500円、高校生以下、障害者手帳持参者と介護者1人は無料 |
・無料 | 10月12、13日、28日、11月1日、1月9日 |