watch
見たい
今様「洛中洛外図」
藤原泰佑さん個展、23日から
2025.08.19
京の街に流れる現在(いま)を映す―。前橋東高出身の画家・藤原泰佑さん(1988年生まれ)の個展が23日、2年ぶりに前橋の画廊翠巒で始まる。気鋭の新作14点が並び、現代の京都を写しとった作品を中心に、従来とは異なる印象の作品にも出会える。(取材/柁原妙子リポーター)
現代京都を古典様式で表す
高さ940×幅1980㍉の大パネルは、京都の街の「いま」を意識して描いた作品。藤原さんは「時を経て作品を見たときに、その当時の文化が伝われば」と語る。
洛中洛外図は、戦国から江戸期にかけて流行した屏風絵で、京都の市街と郊外を鳥瞰図として表現。四季や人々の営みを描き込み、芸術的価値とともに、当時の風俗を知る歴史資料としても重視されている。
▲洛中洛外図 左隻
藤原さんはこれまでも、群馬県庁など高所やドローンで撮影した写真をもとに鳥瞰図を制作し、大和絵の画面構成「すやり霞」に金箔を貼った作品を発表してきた。今年はさらに原点に近づき、京都の街を題材に挑戦。
「現代は情報量が多すぎる。その中で“今”をどう切り取り表すかが課題だった」と振り返る。作品には寺社仏閣と並んで、鮮やかな赤や青、緑が使われているコンビニやドラッグストア、駐車場の看板も描き込まれた。
技法と題材の広がり
藤原さんの作品は「パソコン画面上で完成している」という。写真に収めた対象を切り取り配置し、それを和紙にプリント。さらにアクリル絵の具や日本画の顔料で彩色する。すやり霞にはアクリルメディウムで凹凸や渦巻き模様を施し、浮き上がるような表現を加える。
これまでの画廊翠巒での個展では前橋を中心とした群馬の風景が多かったが、今回は京都が主体で、県内は吉岡町を描いた一点のみ。民藝品をモチーフにした「豊岡招猫図」など、親しみある題材も並ぶ。
日本画出身と見られがちだが、実際は洋画領域で修士課程を修了した。新旧の技法を取り入れ、独自の表現世界を築いている。
▲豊岡招猫図
▲Between 1
藤原泰佑 展 -都市の彼岸-
会期 8月23日(土)〜31日(日)
10時30〜19時※最終日17時まで
火曜休廊
会場 画廊翠巒(すいらん)
(前橋市文京町1-47-1)


