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三世代で歌う 
敷島楽友会25周年記念公演

2025.06.06

三世代で歌う 
敷島楽友会25周年記念公演

 25周年を迎えた敷島楽友会は、記念のコンサートを6月15日、昌賢学園まえばしホールで開く。同会は、唐澤澄江さんが前橋市の中学音楽教員を定年退職した年に創設。会員のほとんどは元教員で約40名。歌だけではなく、親子三世代でのパフォーマンスも織り交ぜ、客席も楽しめるステージ。唐澤さんの教え子で世界的なバリトン歌手、萩原潤さんをゲストに迎え、独唱11曲も堪能できる。
(取材/柁原妙子リポーター)

美しい歌詞が胸に響く

 「ドはドーナツのド、レはレモンのレ」。5才から80代までの全メンバーによる「ドレミの歌」で幕を開ける。

 構成は全8部。1部は郷愁あふれる唱歌メドレーを男声合唱で。2部の女声合唱は、組曲「水のいのち」から3曲をセレクト。3部は “親子三代でうたう童謡” 。会員の子どもや孫たちが歌いながら、工夫を凝らした小道具を使ったパフォーマンスを披露する。

 4部は山や大地を歌う混声曲を3つ。「山頂雷雨」は、作曲家平井康三郎が夏の赤城山で遭遇した夕立ちにインスピレーションを得て創作したもの。5部は萩原さんの独唱。ドイツ歌曲、日本歌曲、バッハの教会カンタータ、オペラのアリアをたっぷり楽しめる。6部は、萩原さん指揮による混声合唱「美しき碧きドナウ」。そして、「今日の日はさようなら」で終幕。
 いずれの曲も歌詞が美しく、メロディーに乗って聴く人の心に情景や感情を湧き立たせる。

前橋では最後の公演

 リハーサルは、五月中ば、本番に使用する会場を一日借り切って行われた。唐澤さんの声が響く。「男声合唱はおとなしい、大ホールに響きわたるように今度はもっと大きな声で」「女声合唱は川を下る音楽のうねりにかける、そよそよという小川ではなく、広瀬川、そして利根川をイメージして」。傘寿を超えても尚、唐澤さんの音楽への情熱は沸る。
 25年前、現役を退いた唐澤さんは、気の置けない仲間と楽しむ合唱同好会を立ち上げた。当時の練習会場は唐澤さんの自宅で、住所の敷島町から会の名前を冠した。はじめは10人程度で、グランドピアノを囲み練習していたという。
 唐澤さんの妹で前橋市の小学校教員だった悴田美智さんは、「入会資格は歌の上手さではなく、人柄が良いこと。友だちが友だちを誘って、次第に規模が大きくなっていった」と話す。年1回のコンサートは毎年欠かさず、コロナ禍も開催した。
 同会の前橋での公演は今回が最後。唐澤さんは現在夫の出身地の中之条町に夫婦で移住しており、このコンサートを「ひとつの区切り」として、今後の活動拠点を中之条に移す。

▲唐澤さん(右)と悴田さん姉妹

萩原さんとのふたつの縁

 ゲストの萩原さんは、唐澤さん、悴田さん姉妹と縁があり、同会5周年のコンサートから5年ごとに出演してきた。
 悴田さんは萩原さんが就学前に知り合った。当時の勤務校に教員の同僚として萩原さんの母親も在籍、意気投合し、休日に親子で一緒に赤城山にスキーに行くような仲だった。「性格がとても良くみんなから好かれ、ジュンちゃんと呼んでいた」と述懐し、「芸大の先生で世界でも活躍をされている今でも、ジュンちゃんと呼んでしまう」と嬉しそうに語る。
 唐澤さんは南橘中赴任時に萩原さんと出会い、吹奏楽部の顧問と部員の間柄でもあった。「世界的な人になって、教え子というのが恥ずかしいよう」と言いつつ目を細めた。

▲世界的に活躍するバリトン歌手、萩原潤さん

敷島楽友会25周年記念コンサート

日時 6月15日日曜 開場12時30 開演13時30
会場 昌賢学園まえばしホール 大ホール(前橋市南町3-62-1)
入場料 無料
曲目 「 “サウンドオブミュージック” より『ドレミの歌』」「女声合唱組曲『水のいのち』」「あめふり」「山頂雷雨」「美しき碧きドナウ」ほか