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戦争を止めた男 鈴木貫太郎
ヒストリア前橋で1周年記念展

2025.04.22

戦争を止めた男 鈴木貫太郎
ヒストリア前橋で1周年記念展

 太平洋戦争を終戦に導き日本に平和をもたらせた前橋市ゆかりの救国の宰相、鈴木貫太郎の企画展が4月23日、アクエル前橋内の歴史エンターテイメント施設「ヒストリア前橋」で始まる。野田市鈴木貫太郎記念館が所蔵している絵画7点と掛け軸1点とともに作品を解説する資料を展示する。

「最後の御前会議」を公開

 展示の最大の目玉は1945(昭和20)年8月14日、皇居の地下防空壕で開かれ、ポツダム宣言受諾を決めた「最後の御前会議」を描いた白川一郎画伯の大作(横190㌢、縦120㌢)。写真は撮られておらず、画伯が20年余り構想を練り、出席者や遺族から服装を聞き出すなどして描き上げた。

▲「最後の御前会議」。左手前が鈴木貫太郎

▲御前会議の席

 野田市の記念館建設中にタカ夫人から依頼された経緯もあり、記念館に展示されていた時期もあったが、損傷が激しく修復作業に当たり今年2月に完成したばかり。記念館はまだ再開されておらず、修復後は全国初の公開となる。

 「自分はいかになろうとも、万民の生命を助けたい」との昭和天皇の御聖断、最後まで意見が二分した会議の詳細な内容も紹介されている。

▲8月9日の御前会議。この日、長崎に原爆が投下された

 最後の御前会議の前、8月9日に開かれた御前会議の絵画も白川画伯の作品。立ち上がった鈴木が昭和天皇に御聖断を仰ぐ場面が描かれている。

 絵画はこのほか、鈴木やタカ夫人、両親の肖像画が並ぶ。

 掛軸は鈴木の座右の銘である「天空海闊(てんくうかいかつ)」。終戦時に鈴木の運転手を務めていた高崎市出身の柄沢好三郎さんが所蔵し記念館に寄贈した。

▲鈴木貫太郎の肖像画。白川画伯が描いた

 このほか、母校の桃井小にいまも残る「正直に腹を立てずに 撓(たゆ)まず励め」と刻まれた教訓碑をはじめ、前橋市内にある関連史跡を写真と文章で紹介している。

 企画展はヒストリア前橋の開館と前橋鈴木貫太郎顕彰会の発足1周年を記念して開く。

 顕彰会の腰高博会長は「今年は戦後80年の節目の年。戦後は鈴木貫太郎内閣総理大臣が昭和天皇の御聖断を仰ぎ、『先の戦争』を終結したことから始まる。鈴木貫太郎の功績を貴重な資料から知ってほしい」と来場を呼び掛けている。

関連イベント

・ギャラリートーク

 野田市鈴木貫太郎記念館の笹川知樹さんが4月26日と5月4日、館内で解説する。時間は10時30分、14時、15時30分から。参加無料。

鈴木貫太郎(すずき・かんたろう)

 1868年、和泉国伏尾(現大阪府堺市)に関宿藩(千葉県野田市関宿町)の藩士の子として生まれる。千葉県から前橋に移り、厩橋学校(現前橋市立桃井小学校)、群馬県中学校(現群馬県立前橋高等学校)で学んだ。海軍兵学校に進み、日清、日露戦争に従軍。連合艦隊司令長官などを歴任後、侍従長として昭和天皇に仕えた。1936年の二・二六事件で銃撃されたが一命を取り留める。1945年4月、首相に就任、同年8月、ポツダム宣言を受諾した。1948年、千葉県関宿町(現野田市)の自宅で死去する。享年81。

「あの戦争を止めた男」鈴木貫太郎

お問合せはこちら
027-226-6013
・会期 4月23日(水)~5月19日(月)
・休館 火曜(祝日の場合は翌日)
・時間 10時~17時(最終入場16時30分)
・会場 ヒストリア前橋(前橋市表町2-30-8、アクエル前橋2階)
・入館料 無料