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動き出す絵画「石田尚志 絵と窓の間」 
アーツ前橋で19日から

2025.04.19

動き出す絵画「石田尚志 絵と窓の間」 
アーツ前橋で19日から

 線を描いては1コマずつ撮影することを繰り返すドローイング・アニメーションの手法で、独自の映像作品を生み出す石田尚志さんの展覧会「絵と窓の間」が4月19日から6月22日まで、アーツ前橋で開かれる。映像に、立体や絵画を組み合わせたインスタレーション作品や絵画、ドローイングなど約80点を展示する。4Kプロジェクターでダイナミックに映し出される初公開作品「夏の海の部屋」は必見。

前橋で初公開作品も

 アーツ前橋が動き出す絵画、止まらない驚きに包まれる。「石田さんの作品は絵画と映像が行ったり来たりして実にユニーク」とアーツ前橋特別館長、南條史生さん。

 作品づくりに影響を与えたのは映像作家で前橋文学館特別館長の萩原朔美さんだという。「20代のころ、イメージフォーラム映像研究所で萩原朔美さんの講義を受講した。定点観測で時間を捉える視点に驚いた」と石田さん。

 入口付近に飾られている6分間の映像作品「REFLECTION」は窓をテーマに、「少し描いてはカシャ(撮影音)を繰り返す。数日かけて太陽と追いかけっこしながら作った作品」。まさに定点観測だ。

▲REFLECTION

 初公開の「夏の海の部屋」は2024年、神奈川県立近代美術館葉山の海の見える展示室で制作過程を公開した作品。白い壁に青いインクが渦を巻きながら飛び散っていく。

 立体5点とビデオ2点のインスタレーション「庭の外」は、糸鋸で即興的に板を切って、木を作り上げ、それができるまでを撮影している。

▲夏の海の部屋

▲庭の外

 今回の展覧会では石田さんの芸術活動の原点にも触れる。幼稚園のときに描いた怪獣の絵。アートに目覚めた高校時代の油彩画、40㍍超えのロール紙に描かれた初期作品「絵馬」も展示されている。

 「ぜひ子どもさんに見ていていただきたい」と石田さん。

▲絵馬

▲怪獣の絵

朔美さんとの対談も

 展覧会の関連イベントも行われる。

 萩原朔美さんと石田尚志さんとの「トーク+上映会」は6月7日16時からアーツ前橋で。石田さんが影響を受けた映像作家や交流のある作家たちの作品をセレクトした「映像プログラム」は6月8日14時から、前橋シネマハウスで開催。いずれも参加無料で、申し込みはアーツ前橋HPの専用フォームから。

 まえばしガレリア ギャラリー1では5月11日から6月22日まで、「石田尚志展(仮)」が開かれる。

「石田尚志 絵と窓の間」
会期 4月19日(土)~6月22日(日)10時~18時(入場は17時まで)
   水曜休館
会場 アーツ前橋(前橋市千代田町5-1-16)
観覧料 一般800円、学生、65歳以上600円

石田尚志(いしだ・たかし)

1972年東京都生まれ。1990年から本格的な絵画制作、1992年から映像制作をはじめ、「部屋/形態」(1999年)でイメージフォーラム・フェスティバル1999特選受賞。2007年、五島記念文化賞美術新人賞受賞。2025年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。多摩美術大教授。