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日本初の純木造8階建てビル
伊佐建設が施工、国交大臣賞

2024.11.29

日本初の純木造8階建てビル
伊佐建設が施工、国交大臣賞

 日本初となる純木造地上8階建ての耐震ビルが誕生した。鉄筋コンクリート造と変わらぬ耐震、耐火性を実現している。伊佐建設(前橋市天川大島町)の共同事業体(JV)が施工を担当。本年度の木材利用推進コンクールで国土交通大臣賞を受賞した。実績を踏まえ、中大規模の木造建築に力を入れていく。

コスト低減、CO₂排出量は半減

 純木造高層ビルは戸建て住宅を中心に木造建築を手掛けるAQ Group(さいたま市、旧アキュラホーム)の新本社ビル。2022年9月に着工し2024年4月に完成、新宿にあった本社を移転した。
 「世界に誇る木造都市復活」を掲げて中大規模の木造建築の普及を目指しており、実証実験として自社ビルの建設を計画。一般的な住宅用プレカット材を使い、馴染みの深い木造軸組み工法を採用して建設した。高さ31㍍、延べ床面積は約6000平方㍍。

▲玄関アプローチ部分。木の温もりが感じられる

▲1階にある打ち合わせスペース

▲2階のホールに続く階段

 耐震性は問題なかったが、耐火性が難問となった。3層の耐火ボードで木材を覆い、その上に木材を張ることで解決させた。このほか、完成するまで木材を雨から守るための工夫など、鉄筋コンクリート造ではない問題が続出したが、現場の知恵を駆使し乗り切った。
 伊佐陽介社長は「木造でビルができたらおもしろいと思いプロジェクトに加わった。初めてのことであり社内からは猛反対されたが、『失敗して当たり前。どこもやったことがないからやる価値がある』と説得した。現場は大変だったが、よく頑張ってくれた」と社員の苦労を労っている。

▲施工の難しさと完成の喜びを語る伊佐社長

 AQ Groupの試算によると、今回の鉄筋コンクリート造に比べ建築コストは3分の2以下、CO₂排出量は2分の1以下。
伊佐社長は「脱炭素社会の実現が求められている。コンクリートだらけの街を木造の街に変えられたら魅力ある街並みになる。木材の供給ルートはできており、公共施設などから手掛けていきたい」と構想している。

▲夕暮れに染まる建物南側の外観

伊佐建設

 1975年5月、前橋市で創業する。2015年10月、東京営業所(現支店)を開設。建築の設計、施工、メンテナンス、不動産開発にあたる。公共施設、商業施設など幅広く受注。東京都町田市のスヌーピーミュージアムも手掛けた。前橋市天川大島町2-5-1。☏027-243-1313