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「機動破壊」から「組織破壊」へ
青栁監督が日本一の軌跡語る
2024.08.07
春夏連続の甲子園日本一を狙う健大高崎高野球部の青栁博文監督が初の著書『勝てる組織の作り方』を出版した。同好会から部に昇格したばかりの組織のトップに就任してから22年後に全国制覇するまでを振り返り、高校野球で幅を利かせる「カリスマ」ではなく、「組織」の重みを論じている。高校野球ファンだけでなく、会社や団体のトップや管理職にも組織マネジメントの参考となる内容となっている。
『勝てる組織の作り方』出版
全国有数の野球強豪校となった健大高崎高の最大の強みを高校野球では珍しいコーチの完全分業制にあると分析、青栁さんが構築、運営する組織マネジメント、戦略、指導論を明かしている。
控え選手だった東北福祉大や社会人時代の仕事を通じて「人脈」や「組織」の重要性を学び、会社の組織図からヒントを得てコーチ陣の分業制を導入した経緯を紹介している。
センバツ優勝について、徹底した相手チーム分析とゲームビジョンの共有があったことを指摘、「創部から積み上げてきた組織としての集大成。機動力を前面に出していく野球が『機動破壊』であるならば、組織で相手を上回った戦いは『組織破壊』といえるかもしれない」と総括している。
本文は全6章で構成、第1章は30歳で会社員から夢だった高校野球の監督に就任した健大高崎高野球部の黎明期を綴っている。監督自らグラウンドの草刈りや石拾いをし、厳しい練習に耐えられず退部者が続出したこと。練習試合のため自ら大型バスを運転して全国各地に行ったことを振り返っている。
センバツ全試合を振り返る
「センバツ初優勝までの軌跡」と題した最終第6章では全試合を詳細に振り返りながら、箱山遥人主将をはじめ、監督だからこそ知る主力選手の素顔にもふれている。
さらに、健大高崎高のスタッフや「一生の付き合い」と誓う教え子たちを紹介するとともに、選手としてセンバツに出場した前橋商業時代の監督、東野威さんや部訓である「不如人和」を選手に説いてくれた農大二高の元監督、齋藤章児さん(故人)ら恩人に感謝の言葉を贈っている。
コーチやスタッフを信頼
群馬県内のスポーツを幅広く取材し、本著の編集・構成を担当したスポーツライターの伊藤寿学さんは、青栁監督について「決してカリスマでなく、コーチやスタッフを信頼している。選手としての下積みやサラリーマンでの仕事が役に立っている。チームスローガンの一つにしている『来る人 来る人 福の神』を実践すべく、いろいろな人から学び、力にしているし、応援したくなる監督」と絶賛している。
『勝てる組織の作り方』は四六判、224㌻。1870円(消費税込み)。前橋市内や群馬県内の書店で取り扱っている。
『勝てる組織の作り方』
著書/青栁博文
発行/竹書房
印刷/共同印刷
特別協力/生方啓介、岡部雄一、倉持雄太
取材協力/健大高崎高野球部
編集・構成/伊藤寿学
編集協力/beat writer(福岡春菜、冨田尚美)
編集人/鈴木誠