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天皇誤導と新田義貞像盗難
智本さんが『銅の軍神』発刊

2024.04.14

天皇誤導と新田義貞像盗難
智本さんが『銅の軍神』発刊

前橋市在住の歴史作家、智本光隆さんが最新作『銅(あかがね)の軍神-天皇誤導事件と新田義貞像盗難の点と線-』を発刊した。桐生市で1934(昭和9)年にあった昭和天皇誤導と太田市の生品神社で2010(平成22)年に盗まれた新田義貞像の2つの事件を現代と絡めた歴史ミステリー小説。群馬会館や敷島公園など前橋市内も登場するご当地小説となっている。

令和に続く歴史ミステリー

『銅の軍神』は戦国時代や南北朝時代、幕末を舞台に架空戦記小説を得意とする智本さんが初めて手掛けた現代物。昭和、平成に世の中を揺るがせた事件と令和に生きる若い主人公たちを結び付け、友情や恋愛の要素も盛り込んでいる。

前橋、太田、桐生市での行動が核心部分となり、前橋は前橋駅や県立図書館、県庁昭和庁舎、お艶が岩などが舞台になる。桃井小と思われる前橋M小学校では終戦時の首相、鈴木貫太郎の話が出たり、萩原朔太郎の『帰郷』も登場してくる。

新作について、智本さんは「デビューまで8年間で8作を書き貯めた。出版社の担当者から『群馬を舞台にしたらどうか』とアドバイスされ、このうちの1作をもとに書き直した。世の中に出すことができ、非常にうれしい」と喜んでいる。

すでに、次作の執筆にも取り組んでいる。昭和初期に開校した前橋初の女学校で学ぶ女子生徒が主人公。年内か来年早々には出版される。

『銅の軍神』は単行本(ソフトカバー)、308㌻。煥乎堂前橋本店、ブックスマンズアカデミー前橋店、蔦屋書店前橋みなみモール店で取り扱っている。

▲小説について熱く語る智本さん

あらすじ

主人公の雨野彰子は中学時代を前橋で過ごした鎌倉に住む美大の大学院生。生品神社から新田義貞像が消えたというニュースを目にした。ある日、義貞像が家の蔵で発見され、中学時代の友人と調査を始める。調査により、事件の背後には警察官だった彼女の祖父が関わっていることが判明、その血脈は…。

智本光隆(ちもと・みつたか)

1977年、前橋市生まれ。南橘中-明和県央高-京都精華大―同大学院-群馬大大学院社会情報学研究科修士課程修了。2008年、南北朝動乱を描いた『風花』で歴史群像大賞優秀賞を受賞、2010年に『関ケ原群雄伝』でデビューする。他に『猫絵の姫君-戊辰太平記-』など。本名・千本木智明。