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【貴方を薔薇に会わせたい・秋▶4】
「星の王子さま」が泣いている
2023.11.05
「バラたちがストレスにならないように、輝く星空の邪魔にならないように」。秋は月のエネルギーとバラの生命力と美しさが鮮明になるイメージがあり、人工的なものにも邪魔されたくないので、敷島公園ばら園の夜のライトアップの調整をお願いしました。いかがでしょうか?(文章/青山美奈子さん)
小ぶりで香りのいい秋のバラ
輝く夜空に銀河鉄道が見えてきそうな、ほどよい明かりに、わがままなバラたちも気分よく芳香を漂わせてくれていませんか?
宮沢賢治が愛したバラ、グルスアンテプリッツもそのひとつ、雨ニモ負ケズ、園内によい香りを放っています。
秋のバラは小ぶりですが香りがよいので、広い夜空を眺めながら香りを楽しめば何かインスピレーションをもたらしてくれること間違いなし。遠い宇宙からやってくる星の王子さまのように…。
星の王子さまは自分が恋したバラを愛情込めて育て、風が当たらないようにガラスで覆いますが、バラは不満ばかりいうので、王子さまはバラを置いて旅に出ることにしたのです。バラは、どんなに王子さまを愛していたか、バラが欲しかったのはガラスなんかではないと嘆き悲しむのでした。
後になって、王子さまは自分がバラを理解していないことに気付くのですが、自分の愛するバラが世界で一輪しかないと思いこんでいたら、地球で果てしなく広がるバラの茂みを見て目をまん丸くするお話し。みなさんも知っている、サン・テグジュペリの『星の王子さま』は美と愛という古典的なテーマを描いた人気の本です。
作者のサン・テグジュペリの名をつけたバラは大輪の濃いピンクのカップ咲きで、秋にはお花の中心が星のように五角形になるときがあり、もちろん香りもよく、さらに花持ちもよく、さすがデルバールのバラといった優等生ですが、そんな優等生でさえも、いつかは絶える、生あるものの定め。
夏の暑さで枯れてしまったそうです。近年の猛暑に負けてしまったバラたちも多く残念でなりませんが私がバラを愛する気持ちは永遠です。
バラは植物でありながら人々の心を狂わせ、人々と時代を共に、さまざまな運命を辿ってきました。
これからもずっと…。
バラ園を支えてくれる人たちに感謝を捧げ、そして私を支えてくれるバラたちにも常にいつまでも感謝を捧げます。
あおやま・みなこ
ばら愛好歴28年。敷島公園観光連盟会長。敷島公園門倉テクノばら園・ばら園まつり実行委員長。学生キャリアサポートを通して若い人たちにもバラの魅力と歴史的意義を受け継ぐ活動にあたっている。
【貴方を薔薇に会わせたい・秋▶2】 ローズヒップは万能選手(N)
陽が落ちるのが早くなる秋は空のグラデーションがとても綺麗で好きです。夕日のピンクがきらめく淡い藤色など青とは言い切れない…