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完全男、45年ぶり敷島のマウンドに
高校野球県大会決勝、松本さんが始球式
2023.07.27
完全男が敷島のマウンドに戻ってきた—。第105回全国高校野球選手権群馬大会の決勝戦が7月27日、前橋・上毛新聞敷島球場で開かれ、試合に先立って行われた始球式で、前橋高校時代に甲子園史上初の完全試合を達成した松本稔さん(62)=桐生高校監督=がマウンドに立った。高校時代の最後の試合は1978(昭和53)年7月27日。ちょうど45年ぶりの登板となった。
ストライクならず「引退します」
「マツモト—」。オールドファンの声援を受けながらマウンドに立った白のポロシャツ姿の松本さん。現役当時と同じややスリークォーター気味のピッチングフォームで渾身のストレートを投げ込んだ。
残念ながらノーバウンドではキャッチャーミットに届かず、無念そうな表情を浮かべる。それでも、大声援を浴び、笑顔も見せながらマウンドを降りた。
松本さんは「初めて夏の決勝のマウンドに立てたのはうれしかったが、ストライクが取れなくて非常に残念。悔しい。18・44㍍は思いのほか長かった。きょうで投手・松本は完全に引退します」と宣言した。
松本さんは高校野球連盟から6月、育成功労賞を受賞した。受賞者がその年の夏の大会の決勝戦で始球式を務めることになっており、昨年投げた桐生高校OBの阿久沢毅さんに続いて大役を果たした。
効果なかった阿久沢さんのアドバイス
奇しくも前日の7月26日、桐生市内で阿久沢さんと会食し、「ロジンバッグを付けない方がいい。滑ってしまい、ショートバウンドになってしまった」と忠告を受けた。「素直にその通りにした」ものの前年の阿久沢さんと同じ結果となってしまった。
45年前の大会で松本さんの前橋高校は準決勝で前橋工業高と対戦、2-6で敗れた。
松本さんは1978(昭和53)の選抜大会で、比叡山高を相手に史上初の完全試合を達成した。筑波大、筑波大大学院を経て指導者となり、中央高を率いて夏の甲子園に出場したほか、母校の前橋高を選抜大会に導いた。中央中等監督を経て、昨年から桐生高の監督を務めている。