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前橋出身の新井三呼さんが県内初の個展
ヤマトギャラリーで31日まで
2023.05.01
画家、新井三呼(みこ)さんの個展「OIL SPIRIT」が5月31日まで、ヤマトギャラリーで開催されている。県内での新井さんの個展は今回が初、新井三呼の雅号での発表も今回が初となる。鮮やかで重厚感のある色使いのミステリアスな作品は、一体どのように描かれているのか、話を聞いた。(取材/柁原妙子リポーター)
無心で描き、謎が出てきたとき完成する
無機質な空間に、大胆な色彩の油絵などが約40点並ぶ。「見る人の絵になってほしい」という思いから、新井さんは作品に題名をつけない。識別するために、制作年とその年の完成順に振った通し番号をつけている。
ギャラリー正面に据えられた朱赤の作品は、2022-4。たまたまストックがあった正方形の100号キャンバス (162㌢×162㌢)を使用した。「はじめは全く違う絵だったが、ある日こうなった。すべてがこの絵に必要な要素なので、先に描いたものを隠したり消したりすることは一切ない」と話す。
作品は全身を使って描き、複数を同時進行で2〜3カ月かけて制作する。
描く時に、思考はしない。「日常から遮断して高い集中状態にもっていき、自然に手が動くのに任せる。色の選択も直感的。ふと、この先どう描こうかなどと頭に浮かんでしまったら、そこで筆を置く」というほど、無心で描くことに徹する。
描き終えるのは、「なんて不思議な絵なんだろうと客観視できた時」だという。「私と切り離され、完成する」と続いた言葉は、作品がまさに産み出された瞬間を象徴している。
また描けることに、感謝しかない
新井さんは1974年、前橋市上泉町に生まれ、第四中、前橋女子高を経て多摩美大へ進学。卒業後は新潟に移り、2008年から作家活動を開始した。佐藤美紀、新井美紀の名で新潟を中心に、銀座や表参道の歴史あるギャラリーでも個展を開いてきた。
2020年7月に群馬に帰郷、縁あって榛東村にアトリエを構えた。ある作家の記念館だった建物を、自らリノベーションした。その作業に2年近く費やし、創作活動が再開できたのは昨年春ごろ。
新潟を離れるまで毎日絵を描いていたが、群馬に来てそれがプツンと途切れてしまった。2年ぶりに画材に触れ、アトリエは初めての場所。さらに肩を壊して右腕の痛みを抱える中、2022-4は生まれた。「恐る恐る体を慣らすようにして描いた、私にとって特別な作品です」と愛おしそうに語った。
新井三呼 展 -OIL SPIRIT-
会場:ヤマト 本社1階ギャラリーホール(前橋市古市町118)
会期:4月10日(月)~5月31日(水)
10時~17時(土•日・祝日休館)※GW中は休館
入場無料
(作家在廊日:5月31日(水)14時~16時)