【石川知恵子の３月の絵本】
『はるにあえたよ』（ポプラ社）

マークとマータは　双子のこぐま。

まだ、外に出たことが　ありません。

お父さんとお母さんから　

「　もうすぐ『はる』がくるよ、

『はる』がくると、じめんから　草のめが出て、はだかの木には　みどり色の葉っぱが開いてくるのさ。

花はいいにおいがするから、春の空気は　とても　おいしいんだ。」と教えてもらいました。

マークとマータは、『はる』を探しに出かけます。

地面から顔を出したカエルに向かって

「ねえ、きみ　はる？」

「…えっ？ぼくは　かえるだよ」

今度は　木の上で　『はる』を探します。

木の幹から　顔を出した　双子のヤマネにも

「ねえ、きみ　はる？」

「えっ…？あたしたち、ハルって名前じゃないわ」

『はる』を探しくたびれて　丘の上に座りこんでいると

向こうから　みどり色の　洋服を着て、赤いマフラーをまいて、黄色いリボンを髪につけた子がやってくるのが見えました。

ふたりは、顔を見合わせて　言いました。

「は・る・だ！！」

『はる』の近くに行くと　いい匂い。

お父さんとお母さんが言っていたとおりだと

マークとマータは思いました。

◎ 文章の中の「はる」の文字だけピンク色で印刷され、絵も春を感じる場所だけが明るい色彩で描かれています。

春が来る前に読んであげたい、かわいい絵本です。

　3月の絵本のコーナーは、『春』のコーナーです。

　今、本の家２には「春にまつわる絵本」のコーナーができています。

　冬眠から目覚めた動物たちが、くんくん…と春の匂いを探すお話ややわらかな日差しの中で日向ぼっこをするお話、地面からちょこんと顔を出したつくしやたんぽぽについて学べる絵本など。

　どれも　ぽかぽかしてくる、あたたかいお話ばかりです。ぜひ春を感じに来てください。