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学びたい
デジタルグリーンシティを考える
前橋市の先進事例を全国配信
2022.07.31
デジタル田園都市国家構想推進交付金に採択された前橋市のスマートシティへの取り組みを考察し、全国の自治体や企業、市民に発信するセミナーが7月31日開かれ、オンラインで配信された。
「景色が聞こえる」システム
「デジタルグリーンシティ(共助型未来都市)~前橋市の取組」と題して、前橋市の山本龍市長が基調講演した。デジタル活用例を競う「夏のデシ田甲子園」にエントリーしている「めぶくEYE:視覚障がい者歩行サポートシステム」を紹介し、「移動が快適な散歩になる。『景色が聞こえる』ようになり、Well-being(幸福)を実現できる」と意義を強調した。
号砲は「めぶく。」 まえばしIDが武器
基調講演を受けて、前橋市のスマートシティ構想を推進しているアーキテクトを交え、パネルディスカッションを行った。
街中のランドマークとなった白井屋ホテルを手掛けたジンズホールディングズの田中仁CEOは、街づくりについて「2016年に制定したビジョン『めぶく。』が始まりだった」と指摘。「本気でやっていくと、一緒にやろうという人が増えてくる。前橋はおもしろい街になっていると、外部のクリエイターが注目し、デロイトトーマツのような大企業が進出している」と最近の状況を分析した。
日本通信社長で前橋工科大の福田尚久理事長は「『俺についてこい』ではない、一歩引いたリーダーである山本市長、田中さんに引き込まれた」と笑いを取り、自ら開発に携わった「まえばしID」に関して「行政手続きや教育などの準公共だけでなく、民間サービスも使え、データを連携することで新たなサービスが生まれる。だれもがストレスなしに毎日の生活で快適に使えるようになる」と予測した。
共助縁側社会で関係人口増やす
「デジタルグリーンシティ」の名付け親でもあるスペースコンポーザー、谷川じゅんじ氏は「共助縁側社会としたい。街全体が縁側になり、縁ができることで自然とその街に足が向く。多拠点で活動することが多くなっており、関係人口を増やせる。若い人が参加することで、Well-being(幸福)をサスティナブルに享受できる」と世代間の広がりに期待した。
山本市長は「全国の市町村長のみなさん。チャレンジしましょう。前橋は応援します。デジタルを使い新しい社会を一緒に作りましょう」と呼び掛けた。
セミナーに先立ち、前橋商工会議所の曽我孝之会頭が「スマートシティが加速することを経済界として大いに期待する」と挨拶。終了後は共愛学園前橋国際大の大森昭生学長が「自分だけが幸福になるのではなく、この街、社会を幸福にしていくことで自分自身が幸福と感じられる社会が求められる」と総括した。
イベントはスマートシティの高度化を推進している一般社団法人「スマートシティ・インスティテュート」が主催した。YouTubeチャンネルで公開する。