study

学びたい

性教育をもっと身近に
県青少年会館で23日にフェスタ

2025.09.12

性教育をもっと身近に
県青少年会館で23日にフェスタ

 第3回「親子で楽しむ性教育フェスタ」が9月23日、群馬県青少年会館で開かれる。同館と性教育推進プロジェクトの共催で、子供から大人まで安心して性について学べる。セミナーやトークセッション、体験コーナーなど多彩なプログラムを用意。性教育推進プロジェクト代表の藤野彩子さん、事務局の山田裕久さんは「性教育をもっと身近に」とポジティブに、エネルギッシュに語る。
(取材/柁原妙子リポーター)

丸一日、性教育を楽しみ倒す

 青少年会館全館を使い、性教育を楽しく学べる企画が満載だ。セミナーやトークセッションに加え、15の体験コーナー、絵本の読み聞かせ、バルーンアートなども用意。キッチンカーや福祉タクシーの来場サポート(要予約)、子供の見守りや抱っこサポートも整えた。

 子供は「子宮内体験」やカルタ、絵本で遊びながら学び、大人は生理痛体験や夫婦関係コーチングに挑戦。世代を超えて学べる場が広がる。

 性教育アドバイザーでもある藤野さんのセミナー、「学校では教えてくれないカラダとイノチのお話」は昨年に続き開催。トークセッションでは「子どもたちを性被害から守る地域連携」をテーマに、5分野から識者が登壇する。

▲昨年の藤野さんのセミナーは大盛況

 藤野さんは「子供たちは知りたがっている。大人は性教育の必要性を感じつつも、自分たちが学んでいないため『いつ、どう教えるか』に悩んでいる。フェスタが親子で話せるきっかけになれば」と期待を寄せる。自身、性被害と中絶の経験を持ち、「同じ思いをする人をなくしたい」との使命感が活動の原動力だ。

“性教育” の概念をアップデートしよう

 プロジェクトが目指すのは「群馬県内全ての子どもに等しく包括的性教育を届けること」。平等に教育機会が得られるよう、活動拠点の前橋市へ要望書を提出。フェスタは年1回にとどまるため、日常的な学びの機会としてラジオ番組を持ち、ポッドキャストやYouTubeでも配信している。

▲藤野さん(左)と山田さん

 「性教育とは人権教育の一環。ユニセフなどによる国際指針は、性教育を人権を守るものとして位置付けている。被害者も加害者も作らない教育が大切」と藤野さんは話す。

 参加者は年々増加し、第1回は300人、第2回は500人に。小中学生対象で広報したが、実際には未就学児や低学年が多く、高校生や大学生はボランティアで関わる。ボランティアには男性の参加も増えており、開催するごとに仲間の輪が広がっている。

医療の立場から地域でできることを提言

 大胡地区で長年お産を担ってきた小澤聖史さんは、分娩の取り扱いをやめた昨年から講演活動を始めた。トークセッションのパネリストとして、「性被害を防ぐには性教育が欠かせない」と力を込める。

 「地域の繋がりが希薄な今、子供が相談できる相手は親しかいない。女子はかかりつけ産婦人科を持つことで、専門家と繋がりができる。医師には守秘義務があり、たとえ親でも秘密は必ず守る」と頼もしく語る。

▲6000超の赤ちゃんをとりあげた小澤さん。小児期まで診療している

カルタを使って対話の場を作る

 性教育カルタのブースを担当する群馬大医学部5年の小林ななみさんは、「遊びながら体と権利を学ぶ場を作りたい」と意気込みを語る。小学6年時、イギリスで受けた性やメンタルヘルスの授業に「日本は遅れている」と衝撃を受けた。教育の向上こそ社会を変える力と信じ、国際医療ボランティアサークルの代表としてグローバルに活動を展開している。
 今回は医学部だけでなく、全学部にボランティア仲間を募る。

▲小林さん(右)と、ボランティアに名乗りをあげた後輩

▲国際セクシュアリティガイダンスに基づき制作されている性教育カルタ

 性教育を「普通のこと」として話せる社会を目指し、多くの世代が集うフェスタとなりそうだ。

第3回 親子で楽しむ性教育フェスタ

会場 群馬県青少年会館(前橋市荒牧町2-12)

日時  9月23日火曜・祝日

   10時〜15時30

Instagram   https://www.instagram.com/pj.sexeducation?igsh=dDZzZG50MmExeXZ3