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学びたい
赤城・小沼 枯渇の危機
水位が低下、湖底干上がる
2025.07.27
赤城山・小沼の水位が7月に入り、異常に低下している。湖水は通常より半分以下で、さらに減り続けている。山頂付近に春先から降雨が少なかったことが原因と考えられるが、「こんなに減ったことは過去に記憶がない。何か他に原因があるのではないか」と心配する住民もいる。
水源は湧水と雨水のみ
小沼は赤城山の噴火で生まれた火口湖。標高1450㍍にあり、直径約700㍍の円形で面積は8万平方㍍。流入する河川はなく、水源は湧水と雨水に限られている。南岸に水門と水路が設けられ、粕川の水源となっている。
周囲に1㌔ほどの遊歩道があり、水量が豊かな時は遊歩道近くまで湖水で満たされるが、現在は干上がってしまった湖底が広がっている。水門にも湖水が届いていない状態になっている。
▲遠足に来た小学生が剥き出しになった湖底で弁当を食べる
粕川町室沢区自治会の新井久雄自治会長によると、農業用水に利用するため5月19日に水門を開け、7月19日に閉じた。「利水は群馬用水の比重が重く、小沼の水門は4㌢開けただけ」と説明、大量の湖水を流出させていないとしている。
▲粕川へ続く取水口。現在は閉じられている
▲水路にはまったく水がない
少雨・高温か別の原因か
気象庁の統計によると、前橋市の降水量は6月が120・5㍉(平年147・8㍉)、7月(25日まで)が77・0㍉(平年202・1㍉)と例年に比べ少なく推移している。
平野部と比べて10度近く低いとされる最高気温も「今年はそんなに差がなく、山頂部も暑さは厳しい」(住民)状態。少雨で水が入らず、高温による湖水の蒸発で水位が下がっているとみられる。
▲2025年7月27日撮影の小沼(上)と2024年7月27日撮影の小沼
一方、少雨は過去にもあったが、これほどの水位低下はなかったという。
「何かの要因で湧水が減少したり、湖底から湖水が流出している可能性があるのではないか」と推測する環境問題に詳しい市民もいる。赤城山には年に数十回訪れているといい、「いま、しっかり調査しないと、貴重な自然資源である小沼が危機的な状況を迎える」と警鐘を鳴らしている。


