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電力の地産地消 前橋から世界へ
共愛・デジタル共創研究センター

2025.07.14

電力の地産地消 前橋から世界へ
共愛・デジタル共創研究センター

 共愛学園前橋国際大学デジタル共創研究センターは7月14日、再生可能エネルギーの安定的な運用と電力システムのサイバーセキュリティ強化を目的とした研究が、経済産業省の「省エネルギー等国際標準開発事業」に採択されたと発表した。世界中で使える安全・安心な電力サービスの標準を前橋で作り出す。2年以内の国際標準登録を目指す。

経産省「省エネ国際標準」に採択

 スマホにダウンロードしたアプリとテレビを使って家庭や事業所のエアコンや蓄電池、電気自動車といった電気製品を遠隔制御することで、再生可能エネルギーの中でも需要の急拡大が予想される変動性の高い太陽光エネルギーを安定して利用することを可能にする。インテックが開発したシステムが安全に使われるためのセキュリティを研究・開発する。

▲スマホで電気機器を制御するデモンストレーション

 電力は需要と供給のバランスが求められ、従来は発電量を増減することで対応してきたが、太陽光などを主力とするために新たにアグリゲーターと呼ばれる特定卸供給事業者が利用者側のリソース制御を通じてバランスを取ることになる。具体的には、発電所からの供給不足が予想されると、蓄電池や電気自動車で蓄電された電力を放電してもらう。

 外部から入ってくる制御信号の発信元が正しいかを判断する認証が重要なカギとなり、デジタル共創研究センターが研究を委託された。

 背景には、前橋市が「めぶくグラウンド」によるサービスを採用しデジタル先進地になっていることと、群馬県が2035年までに再生エネルギーの比率を80%まで引き上げる「グリーンイノベーション群馬戦略2035」を打ち出していることがある。

▲研究の中核を担う梅嶋上席研究員

 デジタル共創センターは世界各国の標準化機関で構成する国際電気標準会議(IEC、本部・スイス)や県内自治体、企業と連携し研究を進める。

 IECのシステム委員会でスマートエネルギーの開発計画を担当するコンビーナ(議長)を務める梅嶋真樹上席研究員は「ヨーロッパ、米国はアイデアベースだったり、研究・開発ベース。日本は実用化ており、先行者利得がある」と分析、2年以内の国際標準登録を目指す考えを示した。

デジタル共創学部、来春誕生へ

 デジタル共創センターは2026年4月に設置予定のデジタル共創学部に先立ち、2025年4月に発足した。今回の経産省からの委託のほか、エアロトヨタとの地理空間情報の研究や日立製作所との研究戦略アドバイザリーが決まっている。

▲「共愛」「めぶく」の理念を大事にしたいと強調する國領センター長

 國領二郎センター長は「多様なプレーヤーが力を合わせ、デジタル技術を活用しながら地域課題を解決するプロジェクトの推進母体となる」とセンターの目的を説明。今回の研究に関しては「来年入学してくるであろう学生たちにも世界に通用する次の社会を変えるような取り組みに参加してもらいたい」とまだ見ぬ学生にエールを送った。

▲地方大学発のビッグプロジェクトを歓迎する大森昭生国際大学学長

▲前橋のデジタル化を推進してきた福田尚久めぶくグラウンド取締役