study
学びたい
共同創造で学ぶ
「リカバリーカレッジぐんま」開講中
2025.05.19
英国発、精神福祉領域で世界的に注目され、今、日本でも急速に広まっているリカバリーカレッジ。前橋で昨年開校した「リカバリーカレッジぐんま」は、4月から本年度前期を開催している。月2回のうち1回は、相互理解の対話の場としてのオープンダイアローグ。もう1回は2期前の学生たちで企画した、リカバリーを促進する学び。今期は認知行動療法、リカバリーについての考察、アロマテラピーが予定されている。メンタルヘルスに興味のある方はぜひ気軽に体験してみて。
(取材/柁原妙子リポーター)
自分らしく生きるヒントを見つける
リカバリーカレッジは誰でも参加することができ、経験知と専門知を対等な立場で持ち寄る共同創造(コ・プロダクションとも)に基づき運営される。リカバリーとは回復、復旧を意味する言葉だが、ここでは単に不調からの回復を指すに留まらない。主催する市民活動団体フィーカの川島真希子さんは、人によって様々に解釈されている概念とした上で、自身は「『自分らしく自分の人生を歩んでいくこと』と捉えています」と話す。
参加者は「学生」。運営には全員で関わる。運営委員を学生から1名と、事務局を務めるフィーカの真希子さん、関根美絵さん、川島新太郎さんの4名で構成。講座の司会進行は運営委員が行い、フラットで居心地良い心理環境を提供する。毎期初回にその期のルール「大切にしたいこと」を制定。最終回は翌々期の企画会議を行い、講座内容が決まったら講師を手配する。関根さんは初年度を振り返り「どう組織づくりするか考えチャレンジできた、有意義な1年だった」と評価した。
▲オープンダイアローグを体験する様子
理想の実現へ
真希子さんと関根さんは、2022年9月より、2人でファシリテーター となりオープンダイアローグ体験会「いこいの場」を開いていた。それが前身にあったため「当校の特徴として、オープンダイアローグが毎月ある」と新太郎さんは説明。対面で無料で体験できることから申し込みは県外からもあり、毎回満席。昨年度の好評を受け、5名だった枠を今期は10名に増やした。
自分の理想のカレッジを作りたかったという真希子さん。「高校時代から精神疾患を抱え生きづらさも経験したが、病気と上手に付き合う術を学んだことで現在は随分生活しやすくなった」と明かしてくれた。その自身の体験から「リカバリーの学びを得ることで、精神疾患があっても楽しく生きていくことは可能だと伝えたい」、「病気と付き合いながら、自分らしく生きてほしい」という思いや願いが活動の原動力という。
同カレッジは気兼ねなく多くの人が体験できるよう赤い羽根共同募金の助成を受け、参加費は無料。原則予約制。
2024年1月〜3月全6回のオープンキャンパスを経て同年4月に開校、昨年度は前期12回、後期12回開催。延べ参加人数はオープンキャンパスで36人、前期58人、後期96人。
▲初回に策定したルールを掲示
草の根的な活動で拡大
英国では第一次ブレア政権発足の97年、精神保健サービスの抜本的な改革に着手。リカバリーカレッジはその過程の中、国策として2000年代後半から次々に開校された。
社会システムが異なるため日本での公的な導入は難しく、民間で営まれる。2013年に三鷹で開校したのが初。コロナ禍が明けてから全国各地で立ち上がり、昨年12月時点では準備中も含めて約30団体にのぼる。
▲リカバリーカレッジぐんまのマスコットたち
リカバリーカレッジぐんま 2025年前期
場所 群馬県社会福祉総合センター(前橋市新前橋町13-12)
時間 13:30〜15:30(終了後30分ほど茶話会)
日程
5/24 (土)ワークで体験!認知行動療法
6/7 (土)いこいの場(オープンダイアローグ体験)
6/21 (土)『リカバリー』ってなんだろう?
7/5 (土)いこいの場(オープンダイアローグ体験)
7/26 (土)セルフケアとしてのアロマテラピー
8/9 (土)いこいの場(オープンダイアローグ体験)
8/23 (土)修了式&企画会議
費用 無料


