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「教師のすすめ」一冊に
元教師、小川さんが自叙伝

2024.07.02

「教師のすすめ」一冊に
元教師、小川さんが自叙伝

2024年3月まで前橋市内の中学校で教鞭を執っていた小川真太郎さん(49)=前橋市=が『教師のすすめ』を出版した。自身の教師生活を振り返り、「教師は本当にやりがいのある素晴らしい仕事」と断言するとともに、教育現場の厳しい現状を詳細に指摘し改善を訴えている。小川さんは「教師は児童・生徒に寄り添い、互いに成長していけるところに大きな魅力がある」と強調、現役の教師や教師を目指す学生にエールを贈っている。

魅力あり、やりがいある職業

『教師のすすめ』は全7章で構成している。第1章で「教師の魅力」を12項目にわたって紹介。「子供たちの笑顔を毎日見ることができる」「青春を何度も味わえる」と列挙し、「卒業後に『宝物』である教え子に会えることも魅力の一つ」と加えている。

第2章で「教師として」心掛けていくべきこと、役目を解き、第3章で学級担任、生徒指導、部活動、校内行事について、自分が実践した例を挙げている。

教育現場の現状は第4章で取り上げている。保健体育を担当した立場から、授業だけでなく、部活動の指導や生徒指導を含めて多忙を極めている実態を指摘。少子化を背景に導入が検討されている部活動の地域移行に対しては、「家庭の経済格差から部活動を行えない子供がたくさん出てくることも想定される」として、公的な組織作りや補助金の必要性を訴えている。

第5章以降は人生を振り返り、小学校時代の恩師をはじめ世話になった人に感謝の言葉を綴っている。結びに、大学で授業や柔道を通して師弟関係にもあった亡き父、小川正行さんにふれ、「教えを守り、子供たちのために人生を邁進していく」と誓っている。

▲『ぐんまマラソンのすすめ』(2021年8月出版)に続いて2冊目

教育現場をよりよくするために

祖父からの教員一家で育った小川さんは中学時代に教員になることを決意した。群馬大教育学部を卒業、吉岡町立駒寄小学校を皮切りに県立榛名養護学校、群馬大附属中学校、前橋市立箱田中学校を経て、2017年4月から勤務した南橘中学校で教師生活の幕を下ろした。

南橘中学校に赴任する前、群馬県スポーツ振興課に出向、ぐんまマラソンの運営に携わる行政を経験し、50歳を機に新しいフィールドで教育に貢献することを目指した。「教育現場をよりよくするために残りの人生に全力を尽くしたいと思うようになった。教師を志す人たちが自分や家族を大切にしながらよりよい人生を送ることができるように」と願い、本書を出版した。

『教師のすすめ』

上毛新聞社出版編集部発行。A5版、本文152㌻。定価1320円(消費税込み)。前橋市内の書店で販売している。