shop

買いたい

ザスパの守護神 華麗な転身 
第二の人生 チョコレートで輝く

2024.12.29

ザスパの守護神 華麗な転身 
第二の人生 チョコレートで輝く

 16年間のJリーグ生活に終止符を打ち、今年3月、チョコレートをプロデュースする会社「JOYNOTE(ジョイノート)」を立ち上げた元「ザスパ群馬」ゴールキーパーの清水慶記さん。オリジナルブランド「よろこびをしるす。」のチョコレートバーは3000本以上を売り上げ、前橋のふるさと納税返礼品にもなった。「アスリートの輝きは一瞬。その後の人生の方が長い。事業を成功させ、セカンドキャリアを考えるプロ選手たちの役に立ちたい」と話す。
(取材/阿部奈穂子)

妻のバレンタインチョコが原型

 長さ5㌢×幅2㌢のチョコレートバー。中はチーズを練り込んだチョコでビスケットクランチをくるみ、ツヤのあるチョコで表面をコーティングしている。濃厚な風味ととろける食感が特徴だ。

 「23歳のとき、当時、恋人だった妻がバレンタインデーにくれた手作りチョコが原型。あまりにも美味しくて衝撃的を受け、いつかは売れればいいと考えていた。15年経って商品化できました」と清水さん。

▲「よろこびをしるす。」のチョコレートバー

 荒牧小時代からサッカーを始め、南橘中―前橋商業高―流通経済大を経て、大宮アルディージャに入団した。

 ザスパに移籍した2016年、慶記(けいき)という名前で、甘いもの好きの清水さんは、サポーターから「ゲームパティシエ」と呼ばれるようになった。それがいまにつながっている。

▲ザスパには2016~17年と2020~2023年に所属

 セカンドキャリアを意識し始めたのは2020年。「サッカー以外の道で新たなチャレンジを切れないものか」と考え、頭に浮かんだのはチョコレートだった。

 「選手生活を続けながら、スタジアムグルメとして手作りチョコレートを販売できませんか」。2023年の開幕前、チームを運営する会社に思い切って相談したところ、「個人事業主として自由にやってみたらいい」と許可が下りた。スポンサー企業であるカインズにも話を通してくれて、開発部門の人たちと一緒に商品作りに取り組んだ。

 オフの日を使い、菓子製造許可証、衛生管理責任者など、チョコレート作りに必要な資格も取得した。

▲「クラブチームとスポンサー企業に支援してもらえたのは大きい」と話す

若手選手のキャリア支援にも取り組む

 2023年のシーズン終了後に引退。現役時代から準備を進めていたため、とんとん拍子で今年3月、オリジナルブランド「よろこびをしるす。」を立ち上げた。慶記という名から付けたネーミングだが、「人生の喜びの場面で食べてほしい」との思いを込めた。

 第一弾のチョコレートバー、8月には第二弾のチョコを練り込んだ堅焼きワッフル「ヴァッフェル」を発売。「気温が高くても溶けないチョコレート菓子。夏場の贈答品用に販売しました」と話す。第三弾として県内の大手菓子会社とのコラボを進行中だ。

▲チョコレートのヴァッフェル

 本業の傍ら、子供たちのサッカーコーチも務めている。

 「Jリーグで先輩方が引退後、苦労する姿をたくさん見てきた。プロ選手がセカンドキャリアにスムーズに移行できる社会を作りたい。そうでなければ子供たちが安心してプロのアスリートを目指せない」と断言する。

 今後は後輩や若手選手のキャリア支援に取り組むアンバサダーとしての役割も務めていく。

▲カインズのカフェ「CAFE BRICCO」のマフィンもプロデュース