shop

買いたい

刑務所と文学館がコラボ
朔太郎デザインの「御来監状」

2024.12.03

刑務所と文学館がコラボ
朔太郎デザインの「御来監状」

 前橋刑務所が販売する「御来監状」が萩原朔太郎の描いたイラスト入りに変わり、静かなブームとなっている。1888(明治21)年の開設当時のレンカ塀がいまも残り、朔太郎の『監獄裏の林』に詠われていることから、前橋文学館の協力でデザインを一新した。刑務所と文学館はさらに連携を進め、本年度中に朔太郎ブランドの革製品を製作、販売する。

革製品を本年度中に販売

 新しい御来監状は表面に開設当時の名称「前橋監獄」の沿革とともに、朔太郎が詩集『郷土望景詩』で書いた『監獄裏の林』全文とイラストを掲載している。イラストは青猫、ゴンドラ、カラス、草花模様の4種類あり、好きなイラストを選べる。
 裏面は完成した当時の前橋監獄を俯瞰したイラスト。塀の外は「河原に冬の枯草もえ」と『監獄裏の林』にある荒涼とした情景がうかがえる。

▲青猫が描かれた御来監状

▲完成した当時の前橋刑務所。周辺はいまのような住宅地ではなかった

 御来監状は明治期のレンガ塀と表門が前橋市の景観資産に登録されたのを受け、御朱印状にあやかって2022年から販売を始めた。受刑者が刑務所作業として印刷している。刑務所北側の刑務所作業製品展示場で1枚300円で販売、刑務所の参観者をはじめレンガ塀を見に来る建築ファンや写真愛好家が記念に購入している。購入すると、御朱印ならぬ監獄印を押してもらえる。

▲前橋市のふるさと納税返礼品にもなっている桐製のごみ箱

刑務所作業に誇りと自信

 前橋文学館とのコラボは作業担当の法務事務官看守長、玉城愛子さんが企画、文学館に申し入れた。函館少年刑務所の「マル獄」シリーズの布製品など人気の高い刑務所作業製品もあり、朔太郎ブランドで知名度を上げ地域社会に受け入れられる刑務所を目指している。
 前橋刑務所は現在、約450人を収監、再犯者が多い。玉城さんは「刑務所作業をするモチベーションにつながる。実際、御来監状のデザインも受刑者が考えている。仕事に誇りと自信を持ってもらい、社会復帰につなげてほしい」と期待している。

▲所内では完成した当時のレンガを展示。『監獄裏の林』についても紹介している

 前橋文学館の萩原朔美特別館長も「出所者が社会に受け入れられる環境作りに貢献できればうれしい」とコラボに前向き。文学館内のミュージアムショップで来年3月以降、革の名刺入れを販売するほか、ブックカバーなど他の紙製品も計画している。
 前橋刑務所は所内を見学する参観を受け付けている。問い合わせは前橋刑務所(☏027-221-4247)へ。

▲南東から望む前橋刑務所。手前は現在は使われていない監視塔

店舗情報

前橋刑務所作業製品展示場

住所 前橋市南町1-3-21
営業時間 10時~16時
定休日 土曜、日曜、祝日