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遊びたい
「前橋ウィッチーズ」さらに熱狂
街を揺さぶる社会現象
2025.09.07
前橋市を舞台にしたアニメ「前橋ウィッチーズ」。放送はすでに終わったが、ファンの熱狂は続き、ラッピング電車やタクシー、コラボ商品、ライトアップが街を彩っている。聖地巡礼に訪れる人の姿は跡を絶たず、SNSには「舞台の街に行ってみたい!」と全国から熱い声があふれている。いつの間にか広がったムーブメント、そこから街の今が見えてくる。
(取材/阿部奈穂子)
前橋の街そのものが舞台
©P/MBW
前橋市発のアニメ「前橋ウィッチーズ」をご存じだろうか。
魔女を目指す5人の高校生が、中心商店街で「歌って踊る魔法のお花屋さん」を開き、人々の願いをかなえていく青春物語。赤城、新里、北原、三俣、上泉――5人の苗字はすべて上毛電鉄の駅名から採られた。舞台はまさに前橋の街そのもの。
4月から6月にかけて群馬テレビやTOKYO MX、BS11で放送され、すでに最終回を迎えた。しかし熱は冷めていないどころか、一層盛り上がり新たな文化をつくりつつある。SNSには「地元が舞台で感動した」「巡礼してきた」といった投稿が絶えず、若者やファンの動きが街を押し上げている。
▲上毛電鉄で走るラッピング電車
その象徴が上毛電鉄のラッピング電車。両側面に5人のキャラクターが描かれた1両編成の特別車両が運行中で、駅でカメラを構えるファンの姿は今も続く。運行は来年3月31日までの予定。
臨江閣では、毎週金曜と土曜の夜に、キャラクターのカラーに合わせたライトアップを週替わりで実施している。国指定重要文化財がアニメ色に染まる光景は、前橋ならでは。
▲臨江閣が6色に染まる
どうしてここまで盛り上がるのか?
人気の鍵は「現実とのつながり」にある。声優5人は「前橋ウィッチーズ」としてアイドル活動を行い、ライブでファンと交流する。
主題歌「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」はつんく♂さん作詞で、劇中楽曲には平成アイドルを思わせるノスタルジーと胸の高鳴りがある。脚本は朝ドラ『虎に翼』やドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』などを手がけた吉田恵里香さん。少女たちの等身大の姿が共感を呼び、物語に厚みを加えている。
さらに公式YouTubeで配信中の「まえばし魔女っぽいラジオ」も好評。声優とファンをつなぐ場になっており、10月4日には前橋市の大胡シャンテマルエホールで公開放送も実施。全国から多くのファンが前橋を訪れそうだ。
©P/MBW
老舗や飲食店も巻き込む
現実の街でもコラボは拡大している。
日本中央交通はキャラクターをあしらったラッピングタクシー2台を運行し、乗務員が巡礼地の案内を兼ねている。老舗「三俣せんべい」ではキャラクター煎餅を販売し、本店にはパネルやぬいぐるみが並ぶ。
飲食店も続々と参画し、道の駅まえばし赤城の「ヒュッテハヤシレストラン」では5人をイメージしたダッチベイビー、馬場川通りの「GOGOクレープ」では推しいろクレープ、弁天通りの「あんこもん」ではキャラクターをイメージした6色おはぎセットが登場。
▲ヒュッテハヤシレストランの「前橋ウィッチーズ×ダッチベイビー」写真/前橋まるごとガイド
カリカリ梅の「赤城フーズ」は、赤城ユイナとコラボした梅漬物やアクリルスタンドをオンラインストアで販売し大人気に。
広瀬川沿いの「グルマンカレー」は聖地巡礼に欠かせない店。北原キョウカ役の声優、本村玲奈さんがオーディション前に同店に立ち寄り、店主が前橋のことをいろいろアドバイスしたというエピソードが残る。壁には声優たちのサイン、メニューにはキャラクターをイメージした「ウィチーズ全員集合!栄養満点ベジタブルチキンカレー」をラインナップ。
▲赤城フーズ×赤城ユイナ あまずっぱ~い甘梅
▲グルマンカレー「ウィチーズ全員集合!栄養満点ベジタブルチキンカレー」
放送は終わったが、Prime VideoやU-NEXTなどで今からでも視聴できる。なぜこれほどファンたちが熱狂するのか――その理由は作品を見れば自然と伝わってくる。
地元で生まれた新しい文化の息吹を一度味わってみては。
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