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動物は立派な社員です
ソウワ・ディライトが採用
2025.02.03

電気工事業のソウワ・ディライト(前橋市小屋原町、渡邉辰吾社長)は異色の“社員”を続々と採用している。道産子の白馬のアマナをはじめ、ロバ、ヤギ、ヒツジが在籍。地域づくりや環境問題、子供の居場所といった大きな仕事に従事している。昨年10月には天然記念物であるアイヌ犬が新入社員として入り、地域の防犯対策の主力として期待されている。
2頭のアイヌ犬が仲間入り
「クンネ、吠えちゃダメ。お客さんだぞ」。「チュプ、いい子だ。そうそう、優しくしてね」。ソウワ・ディライト本社近くにある5000平方㍍の牧場。カメラを持った訪問客に2頭のアイヌ犬はちょっぴり興奮気味だ。オスのクンネは目を吊り上げ、威嚇してくる。

▲防犯部長候補のアイヌ犬
元気いっぱいの新人を指導するのは昨年4月からチーフアニマルオフィサー(CAO)を務める渡邉康明さん。「動物が大好き」という2月で20歳となる穏やかな若者が個性ありすぎの面々を世話している。
アイヌ犬は北海道からやってきた。飼い主のブリーダーが亡くなり、新たな飼い主を探していたところ、「オオカミを飼いたい」と考えていた渡邉社長に情報が届き、仲間に加わった。
「来た当初は慣れず、噛まれたこともあった」と渡邉CAO。気性の荒さが目立ったが、いまではかなり落ち着いてきた。牧場から出張する機会もありそうだ。
地域づくり、環境対策に活躍
先輩社員はすでに大活躍している。
大人しいアマナは地域行事に参加したり、職場である牧場で子供たちを背中に乗せたりして、すっかり人気者。職場でもリーダーとなっている。

▲地域の祭りに参加するアマナと渡邉CAO
アマナへの好意を隠そうともせず、しきりに近寄るロバのニコラ。年下の男の子、ニコラが気になるマルガリーテ。職場の「動物関係」も複雑だ。

▲白馬のアマナにすり寄るニコラ
2頭はヤギやヒツジとともによく近所に出掛け、道端の雑草をはむ。地域の環境対策に貢献している。
動物たちのフンを肥料にするロバ堆肥プロジェクトも進めている。有機農業に利用してもらう。
動物を相手にするため、想定外のことがよく起きる。「小さいヤギがいじめられたり、けんかもある。脱走してしまうこともあった」
別れは必ずやってくる。「ヤギとヒツジが1頭ずつ死んでしまった。大事に育てただけに悲しかった」と渡邉CAO。その分の愛情をいまいる動物たちに注いでいる。

▲雑草対策で貢献するヤギやヒツジ
牧場を地域や子供に開放
ソウワ・ディライトは牧場を地域に開放している。「子供たちにヒト以外の存在と共生する感覚そして言語を用いない動物達との真のコミュニケーションを経験してほしい」との願いからだ。

▲恐る恐るロバに手を触れる小学生
動物を社員にする理由について、渡邉社長は「あくまでも持論として、人々のパートナーはかつて馬、カラス、オオカミという存在だったのではと考える。現代社会では見られなくなったそうした動物に近い存在とともに暮らすべく、牧場に動物を連れてきた。人しかいない世界は一見便利ではあるが何故か息苦しい。人間ではないものの存在を感じることで気持ちが落ち着いたり、他者とのコミュニケーションが円滑になったりすることもある。ペットではなく同等を前提としたヒトとヒト以外の共生という考え方が大切だ」と説明する。

▲さまざまな多様性を大事にする渡邉社長
さらに、「ジェンダーバランスのみならず、スピーシーズバランスや子供たちとの関係性も大切に、ソウワ・ディライトとしてさらなる多様性を高めて行くとともに従来にないさまざまなデザインやアクションをこの地域に生み出して行きたいと想う」と構想している。
ソウワ・ディライト
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- 027-266-6711
住所 | 前橋市小屋原町722-1 |
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営業時間 | 10時~17時 |
定休日 | 土曜、日曜 |