前橋市の中心街を流れる馬場川に「渓流の女王」と呼ばれるヤマメやウグイ、アユが泳いでいる―。日下田伸・前橋新聞特派員が“特ダネ”をつかんだ。
国道50号に並行するように街中を東西に流れる馬場川。ほとんどが地下水路の暗渠(あんきょ)だが、中央通りから前橋プラザ元気21までの約200㍍は遊歩道沿いに川面が姿を現す。
川をのぞくと、流れに逆らって懸命に泳ぐ小さな魚影が確認できる。馬場川通り親交会の北原雄一郎会長によると、ヤマメやウグイとみられる。天敵の鳥を警戒して、橋の下を中心に数百匹が生息している。
馬場川は利根川を本流とし広瀬川、風呂川から続く。昔から利根川の魚が流れ、北原さんは子供時代、ナマズをつかまえたこともあるという。
1977(昭和52)年に川底や側面がコンクリート製になっても、魚はやってくる。下水道が整備され、生活排水がなくなると、清流にしか生息できないヤマメやアユも姿を見せるようになった。
広瀬川は2月、堰や制水門の点検・整備のため分水が止められる。馬場川も水がなくなるが、元気21付近の暗渠には水が貯まっていて、越冬する魚もいるとみられる。ここは昔のまま川底は砂地で、絶滅危惧種のスナヤツメの生息も確認されている。
群馬漁協に取材したところ、「馬場川に魚を放流することはなく、すべて利根川からの天然の魚。水質がいいのでしょう」と絶賛していた。
白井屋ホテルができ、遊歩道整備の計画が進む馬場川通り。おしゃれな街に放流ではない、天然の魚が遊ぶなんて、何かいいですね。