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【聞きたい青木別館オーナー 青木猛さん▶︎】赤城山未来予想図Ⅰ

2022.08.01

【聞きたい青木別館オーナー 青木猛さん▶︎】赤城山未来予想図Ⅰ

「自然守り突き抜けた空間に」

赤城山を象徴する観光スポット「大沼」。原生林に囲まれたカルデラ湖は四季を通して豊かな顔を見せる。眠りから覚めた春は山菜採り、涼やかな夏は自転車やランニング。登山は紅葉の秋、湖面が結氷する冬はワカサギ釣りを楽しめる。手つかずの自然を生かしつつ、体験型観光地として磨きをかけよう。湖畔の経営者たちが未来予想図を描く。

▲赤城山頂未来予想図を描く青木猛さん、塩原恭子さん、塩原勲さん、林智浩さん(左から)

マラソン、自転車、カヌー

―赤城山が最近、注目されてきました。

四季折々に魅力がありますから。レンゲツツジは日本一だね。95㌶の白樺牧場に10万株が咲き誇る。6月に15日間のツアーがあってガイドをしたけど、改めてすごさを感じました。インスタ映えするから、年配の方だけでなく、若い女性も来てうれしかったね(笑)。雨の日はカメラマンが集まってくる。人がいないし、霧が花を美しくしてくれるとか。

―夏場はマラソンの練習のため、県外からも大沼に集まってきます。ヒルクライムに向けて自転車で試走する人も増えてきました。

青木 昔のテニスブームもすごかった。冬はスキーができ、登山も相変わらずの人気。3年前からはカヌーが解禁となった。専門家の話によると、大沼は広くて、かつ安全だという。万が一の場合、どこでも岸に着けられるから。ファミリー向けのツアーができます。新しい売り物になるかな。

―昔からの飲食店や土産店に加え、外部から若い人たちが進出してきました。

「HUTTE HAYASHI CAFE」や「トレッカーズカフェ」ですね。よくぞ山頂に来てくれました。大歓迎でしたね。こんなおしゃれな店はこれまでの山頂にはなかったので。

HAYASHIの隣にはワーキングスペースができました。コロナを契機にリモートによる仕事が増えています。ここなら仕事をしながら、自然に癒される。オーナーの林智浩さんのセンスには脱帽です。

にぎわいと衰退 再び元気に

―赤城山が観光地としてにぎわうようになったのはいつごろからですか。

マイカーブームが起き、1966年に赤城南面有料道路ができたのが大きかったね。ホテルが建ち、スキー場も大勢のスキーヤーでにぎわった。雪質がよく、猪谷千春さんが練習したことでも知られた。特に宣伝しなくてもお客さんが来て、どんどんお金を落としていってくれた。

―最盛期はどのくらい観光客が来たのでしょう。

年間100万人来ました。バブル期がピークでしょう。駐車場に車を停めるのも大変な騒ぎだった。現在は半分くらい。群馬県の調査では滞在時間も短く、消費金額も少ないことが分かりました。

―そこで、青木さんたちが立ち上がったのですね。

このまま手をこまねいていたら終わってしまう。そんな危機感から2010年に「AKAGIやる気塾」を作りました。山頂の住民を中心に群馬大の先生や学生も仲間に入ってもらい、一緒に振興策を考えました。「頭文字D」のグッズやスイーツを開発しました。いまは赤城神社さんにはワカサギが釣れるお守りを作ってくれるようお願いしています。

―スノーピークと連携して赤城山を活性化する事業計画が進みそうです。

山井太会長とも会って話をしました。山が好きで、キャンプが好き。ウェルカムだね。地元だけでは限界がある。外部の知恵や資金が入るのはありがたい。もちろん、自分たちが主体的にかかわっていかなければならないのは変わらないけどね。

―どんな未来予想図を描いていますか。

絶対に譲れないのは豊かなこの自然を永遠に守っていくこと。これが前提条件となる。この上で「あれっ、赤城は変わったな」と思えるような開拓を一緒になってやっていきたい。全国どこでもあるようなのではなく、赤城の自然、歴史、文化を感じられる、突き抜けた空間にしたいね。

あおき・たけし

1964年1月生まれ。富士見中赤城山分校―利根商―法政大。アルペンスキーの選手として国体や全国大会で活躍した。