interview
聞きたい
GLAYのTERUさん、前橋で語る
2028年、函館と芸術祭で交流へ
2026.10.31
人気ロックバンド「GLAY」のボーカル、TERUさんが10月31日、前橋市千代田町の「まえばしガレリア」でトークショーを開いた。故郷の函館市で2028年秋に箱館国際芸術祭を開催すると発表したばかり。同じ年の秋には前橋でも第2回前橋国際芸術祭が開かれる予定。両都市の芸術祭での連携に意欲を示し、アートによる街づくりや若者の育成、防災への思いを語った。
(取材/阿部奈穂子)
BOØWYに憧れた前橋で
「前橋は結構来るんですよね」とTERUさん。グリーンドーム前橋での公演や、デビュー前には市内のライブハウス「ラタン」で修業ライブを行った思い出も披露した。群馬県出身のロックバンドBOØWYへの憧れがあり、群馬は特別な場所だったという。
トークショーには抽選に当選した着席50人、立ち見100人の計150人が参加。熱心なGLAYファンが詰めかけ、会場は大いに盛り上がった。
テーマは「前橋と函館|アートと歩む、2つの故郷」。前橋市出身のアートディーラー、塩原将志さん、前橋国際芸術祭プログラムディレクターの宮本武典さんと語り合った。
▲会場のまえばしガレリアの周りは人であふれかえった
TERUさんが箱館国際芸術祭の開催を発表したのは10月27日。2028年秋の開催に向け、約2年前から函館市長や経済界、観光関係者らと協議を重ね、準備を進めてきた。「やっとこぎつけた」と発表までの道のりを振り返った。
同じ2028年秋には前橋でも第2回前橋国際芸術祭が開かれる。この話題になると、TERUさんは「何かできそうですね」と笑顔。前橋の名産品を函館で振る舞い、函館の名産品を前橋で紹介するなど、食を通じた交流を提案した。
▲「函館も手伝ってください」と塩原さんに話すTERUさん
自らも絵筆を握るアーティスト
TERUさんが函館で国際芸術祭を開きたいと考えた原点は、約11年前に訪れたイタリアのヴェネツィア・ビエンナーレだった。
「海と倉庫と石畳を見た時、函館と全く一緒だなと思った」
函館では明治時代に建てられた倉庫や古民家が、経営不振や老朽化などによって取り壊されていた。歴史ある建物を残す方法を模索していた時、ヴェネツィアで街全体が芸術祭に参加する光景を目にした。
街を歩けばさまざまな作品に出合える。函館でも同じことができれば、市民が喜んでくれるのではないかと考えたという。
TERUさん自身、長年にわたって絵を描き続けてきた。1999年に始まった「GLAY EXPO」では自作の絵を展示。音楽雑誌やファンクラブの表紙、DVDのジャケットなども手がけてきた。「いつかアートの方面でもやってみたいと思っていたけど、GLAYが忙しすぎて、なかなかできなかった」
音楽と絵画では、創作する時の心境がまったく違うという。
音楽はメンバーそれぞれの才能を重ね、一つの作品をつくり上げる共同作業。一方、絵を描く時は「邪念をとにかく捨てて」自分自身と向き合う時間が続く。
作業中には音楽を一切聴かない。「ミュージシャンなので音のピッチやギターのフレーズが気になり、創作に集中できなくなるんです」
現在は海外の美術館や芸術祭にも積極的に足を運ぶ。現代アートについて助言を求める塩原さんは、先生のような存在だという。
▲TERUさんのアートの先生、塩原さんは赤城山出身
故郷にいながら世界と出会う
箱館国際芸術祭では、地元の若者が世界のアーティストと出会い、活躍する機会をつくりたいと考えている。
TERUさん自身は16歳でGLAYを結成し、18歳で上京した。「東京に行ってチャンスをつかむんじゃなくて、地元にいながら世界に飛び立つ時代なんじゃないかな」と語る。
今回の前橋国際芸術祭には、TERUさんが支援する函館の若手作家、藤倉朱里さんが出展している。3年ほど前に知り合い、その才能に可能性を感じてアート関係者に紹介してきた。
「そういった出会いをいっぱい作ってあげたい」
▲若い才能を応援したい、とTERUさん
中之条ビエンナーレにもたびたび足を運んでいる。印象に残っているのは、廃校を利用した展示会場での光景だ。かつてその学校に通った高齢者が来場者を迎え、地域の歴史を語っていた。
TERUさんは、芸術祭を通じてこうした世代を超えたつながりを生み出したいと考えている。それは防災にも役立つという。
普段は接点の少ない高齢者と若者が知り合えば、災害時に声をかけ合い、一緒に避難できるようになる。
「そのつながりがライフラインになるんじゃないかな」
▲会場からは黄色い声援が飛んだ
前橋と函館には、中心市街地の活力を取り戻し、歴史や文化を次世代へ引き継ぐという共通の課題がある。「芸術祭が住民の誇りになることが大切なんです」と塩原さんは指摘する。
TERUさんは最後に「故郷を愛する人が行動すれば、新しい楽しみを生み出せる」と強調。若い世代の挑戦を年長者が支える社会への希望を語った。
「一人一人がしっかりと前を向いてつながり合っていけば、素敵な未来が来るんじゃないかと思います」


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