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【特集 前橋×2025▶3】
「惜別 味の店」
愛されながら下ろした暖簾

2025.12.29

【特集 前橋×2025▶3】
「惜別 味の店」
愛されながら下ろした暖簾

 コロナ禍の後遺症が癒えた矢先に物価高騰の嵐に見舞われた飲食業界。食材や人件費の上昇を価格に転嫁できず、経営は厳しさを増している。店主や家族の高齢化、後継者難といった問題もあり、苦渋の選択で暖簾を下ろした名店もあった。

町中華の名店が続々と

 「きょうの日替わりは何?」「ソースカツ丼。美味しいよ。でも、中華丼でも麻婆丼でもいいわよ」「曜日が違うけど」「気にしない、気にしない」

 元気いっぱいのお母さん、湯浅幸子さんが仕切る「ラーメンハウス春華」はオモウマすぎる町中華の店。

▲店に飾ってあった若き日の幸子さん=春華

 敷島公園にあった名店「敷島壱番館」で修業を積んだご主人の利郎さんと30年以上にわたって店を盛り立ててきたが、9月に突然閉店した。丼の日替わりランチは500円、半ラーメンを付けても680円という庶民の味方だった。

▲日替わりの丼に半ラーメンのセット

 利郎さんの修業先は1976年に創業、前橋市内では本格中国料理の先駆け的な店だった。20年後に「敷島壱番館 隨園」の名称で西片貝町に移転した。

 創業者の市村民雄さんは中国料理の地位向上や日中友好に貢献したとして駐日大使から表彰された功労者。市村さん亡き後は2代目が後を継いでいたが、今年に入りしばらく休業が続き、春華と同じころに店を閉めた。何かの縁だろうか。

▲ランチに点心3点セットを付けて=隨園

 町中華の名店の閉店が相次いだ。深夜営業の「らーめん太助」は昨年12月31日、カレーラーメンを看板にしていた「松屋軒」は1月、ラーメン450円の「関城亭」は3月に長年掲げた暖簾を下ろした。

 ピリ辛のオロチョンラーメンを食べられた「中華食堂 オロチョン」も9月に閉店した。店主の体調悪化が原因。新宿・歌舞伎町の深夜食堂「利しり」の名物が食べられると人気だっただけに残念だ。

▲深夜ににぎわった太助

▲ウナギが隠し味だった松屋軒のカレーラーメン

▲素朴な味のラーメンが人気だった=関城亭

▲このオロチョンが食べられなくなるとは…

 利根川に架かる大渡橋東詰めにある蕎麦店「小松屋」は11月末で暖簾を下ろした。元は宿屋で、蕎麦店になってからも100年くらい経つという老舗ながら、出前もしてくれる店だった。

▲タヌキが出迎えてくれた小松屋

洋食の名店、老舗も姿消す

 1985年に開店した地中海料理の老舗、「アミーゴ」は3月、40年の歴史に終止符を打った。ランチ時は1人前から注文できたパエリア、名物のローマ風ケーキはもう食べることができない。

▲おこげが絶品だったアミーゴのパエリア

 元祖ソースカツ丼の店、「西洋亭市」は5月末、ひっそりと店を閉じた。創業は第1次世界大戦中の1915年。110年の節目の年だった。

 店のある馬場川通りはすっかり整備され新しい店が続々と誕生、にぎわいを復活させた。一方で、釜揚げスパゲッティの「麦亭」も昨年12月に閉店しており、さびしがる市民も多い。

▲西洋亭のソースカツ丼

▲麦亭の釜揚げスパゲッティ

 国道50号沿いの「レストランまとい」は9月に閉店した。洋食のお父さんと和食の息子さん、接客のお母さんが力を合わせて繁盛していた店だった。

▲まといは洋食も和食も楽しめた

 前橋市中心街で1961年に産声を上げた「山水会館」。洋食店の草分け的存在は1979年に惜しまれながら閉店したが、2年後に元従業員らがJAビル内で「カパーニュ山水」を復活させた。しかし、昨年12月末で閉店、グリーンドーム前橋内にあった蕎麦や定食の支店も後に続き、山水会館の歴史に幕を閉じた。

▲カレーにも風格を感じる=カパーニュ山水

▲ワンコインで食べられたグリーンドーム前橋の店