interview
聞きたい
【聞きたい 成田達輝さん▶2】
演奏会は「一期一会」
2025.05.13
結婚し2児の父親にもなった成田さん。演奏にもますます深みが出てきた。コラボにも意欲的。昨年は萩原朔美さんと組み、詩の朗読にバイオリン演奏を重ねた。どんなコラボがでてくるか。
家族愛を舞台で表現
――昨年は国際的なピアニストである奥さまの萩原麻未さんと前橋でリサイタルをしました。
久しぶりの前橋の舞台でとても緊張しました。私のことを覚えていてくれるかな、と不安にもなりました。
アフターコロナで、アーティストとしてどのような演奏活動、発信の仕方ができるのか、妻と話して臨みました。家族愛やアットホームな雰囲気を感じていただければと願い、演奏しました。
▲奥さまの萩原麻未さんと
――奥さまは3月、2人目のお子さんを出産されました。おめでとうございます。家庭を持って、何か音楽的に変化はありますか。
とてもあります。いままでは自分中心主義でしたが、家族ができ、演奏を見直す機会を得ることができました。妻や子供から学ぶことが多く、より芸術的に進化できたと実感しています。
子供の笑顔は自分の演奏の栄養というか、ガソリンになっています。自分の将来は子供の将来であり、逆もまたしかりですが。
詩の朗読と演奏のコラボ
――まえばしPR大使になる前の昨年10月、前橋文学館で詩の朗読とのコラボをしました。近代詩とクラシック、異色の組み合わせでした。
萩原朔美さんがあたかも演劇をしているかのように大声で詩を朗読され、即興で音を持って行きました。大きなシナジーが生まれ、やってよかったと大いに喜んでいます。爆発的なライブ感がありました。
▲バイオリンと詩の朗読で出会った仲間
――他の分野の方とのコラボはよくされるのですか?
人とコラボすると、自分の頭にあるものと他の方の頭の中にあるものをぶつけ合っておもしろいものが生まれます。それが一番楽しいと感じるので、よく取り組んでいます。
自分の興味も刻々と変化し、コラボを望む相手も変わってきます。常に変化を受け入れられるのが自分の強みなのかもしれません。
さまざまな形を変化させるアーティストになりたいですね。
――成田さん自身、どのような思いで舞台に立ちますか。
演奏会は常に「一期一会」の思いで向かいます。
オーケストラのメンバー全員が幸せな思いで演奏し、演奏会に足を運んでいただいたお客さまが「素晴らしかった」と感じてもらえるように最大限の力を発揮します。
私が取り組んでいるクラシックは大昔に楽譜に書かれたものを再現するものです。それをいかに鮮やかに、いかにいま生まれたかのように熱量を持って再現するか。これにかかっています。人々に愛される演奏家になりたいと考えています。
成田達輝(なりた・たつき)1992年、青森県生まれ。3歳からバイオリンを始め、箱田中時代に全日本学生音楽コンクール中学校の部で全国第1位。パリ国立高等音楽院在学中の2012年、エリザベート王妃国際音楽コンクールで第2位となり注目を集めた。


