interview
聞きたい
ペットも人も幸せに暮らすために
県庁でハッピーペットフェス初開催
2025.05.01
動物愛護団体、保護猫カフェ、ペット法務グループによる講演会の開催や動物のグッズを販売するハッピーペットフェスが4月26日、県庁で開かれた。動物に関わる3団体が集まった初の取り組みに、30人ほどが集まった。6月には「ペットとの将来に備える飼い主のための終活セミナー・相談会」を開く。
(取材/江原由利子リポーター)
保護犬保護猫のいない未来を目指して
NPO法人群馬わんにゃんネットワークの飯田有紀子理事長はまず「愛護から福祉の時代」と話し、動物の福祉の指標として国際的に認められている5つの自由(1.飢えと渇きからの自由、2.不快からの自由、3.痛み・傷害・病気からの自由、4.恐怖や抑圧からの自由、5.正常な行動を表現する自由)を紹介した。
次に保護犬・保護猫の実状や殺処分について写真やデータと共に提示。「近年では犬の飼い方のレベルがあがってきたことで子犬が遺棄されることはほとんどなくなった」と話した。しかし、繁殖業者によるシニアの雌犬の遺棄はあとを絶たない。保護猫は依然として多く、不妊去勢手術をせずに無責任にエサだけ与えた結果、飼い主のいない猫が増えることにつながっている。「犬猫共に多頭飼育崩壊現場からや、飼い主の死亡や施設への入所による保護も多い」と明かした。
「最も悲惨なのは多頭飼育崩壊の上、飼い主が死亡または施設へ入所し、動物だけが取り残されるケース」と話し、福祉と行政が手を取り合い、飼い主に早めにレッドカードを出し、愛護団体へつなぐ流れの必要性を強く訴えた。
そしてボランティアの愛情をいっぱいに受けて穏やかな顔になった保護犬、保護猫の写真を示し「純粋な瞳に応えられる人に。保護犬、保護猫のいない未来に向けて人が学んで変わっていく必要がある」と力説した。
▲「なぜ保護犬、保護猫になったのか、実状に目を向けて」と飯田理事長
保護猫カフェから見える課題
保護猫譲渡型カフェ「ととのう猫カフェバーニャ」のオーナー黒澤実さんは、バーニャについて「在籍するすべてが保護猫で、寄生虫の駆除や皮膚病などの治療などを済ませ、デビューまでに2~3カ月かかる。在籍する猫たちは、面倒を見られるマックス13匹までと決めている」と説明。猫ファーストを目標に掲げ「適温・栄養のあるご飯、睡眠、ケア、遊びと当たり前のことをしっかり行っている」と話した。「保護猫は当たり前のことを当たり前にするだけで、匂いもなくきれいであることを知ってほしい」とアピールした。
猫の保護を依頼される際、挙げられる理由は「諸事情がある」「避妊去勢をせずに子猫が生まれた」「彼女と別れた」「飽きた」など自分勝手な場合がほとんどで「保護猫を生まれる一番の原因は身勝手な人間のせい」と明言。「自分の子を大切に、当たり前のことをしっかりやる」ことの重要性をアピールした。
猫を飼ってから「アレルギーであることがわかった」というケースを挙げ「迎えてからお互いに悲しい思いをしないためにも、猫を飼う前にバーニャで猫と接してみては?」と提案。「バーニャで猫たちと遊ぶことも保護猫の支援につながる」と話した。
▲「譲渡先の審査は厳格。命を預かるメリットとデメリットも伝える」と黒澤さん
法的な知識で人と動物に安心と幸せを
3番目に登壇したのは、今回のイベントを主催した行政書士高崎事業協同組合ペット法務グループ。猫を飼っている高齢者が入院したり施設に入所したりして、猫たちのその後について周囲が対応に苦慮するという相談が多いとし「いずれも備えがないまま問題が発生したことが原因。そうならないためにも法的制度や民間サービスを活用しながら、飼い主とペットの双方が安心できるような備えをすることが大切」と力を込めた。
備えの方法として、①法的制度の活用(死後事務委任契約、遺言書、ペットのための信託)、②民間の仕組みの活用(生命保険信託、NPO法人、老犬老猫ホーム、ペット後見互助会)③手軽に始められる方法(信頼できる人に頼む、飼育記録を残す、一時預かり先を探す)のそれぞれの特徴を説明。「今できることから始めよう。小さな一歩が大きな安心につながる」と訴えた。
また、ペットを飼い始める際の心構えとして、義務化されたマイクロチップを紹介。マイクロチップは、犬や猫など動物の飼い主を証明するためのもので、災害時・脱⾛・迷⼦になったときの早期発⾒や、安易な遺棄の防止につながる。大きさはおよそ8㍉とつまようじの先ほど。身体的なトラブルはほとんどなく、一度の装着で半永久的に使用できて外れる心配がない。
「飼い主や事業者に代わって、マイクロチップ関連の登録・変更手続きを行うことは、行政書士の業務として認められている。手続きの不備を防ぎ、スムーズな登録ができるので相談を」と呼び掛けた。
▲「ペットの情報や健康状態を記したノートを書くこともおすすめ」と黒澤侑加さん
同会は「ペットとの将来に備える飼い主のための終活セミナー・相談会」を以下のとおり予定している。相談や問い合わせは同グループまで。
日時/2025年6月28日(土)13:00~17:00
場所/群馬県庁32階 NETSUGEN
ペット法務グループ pet@takasaki-gsk.com


