interview

聞きたい

【聞きたい せきあっしさん】
るなぱあくを笑顔いっぱいに

2025.04.28

【聞きたい せきあっしさん】
るなぱあくを笑顔いっぱいに

 かつてはお笑い芸人、いまは子ども向けエンターテイナー。前橋市の遊園地「るなぱあく」や幼稚園、小学校などへショーを届けるせきあっしさん。熱狂的な子どもファンを持つ。この世界へ入ったきっかけや、ショーの見どころを聞いた。
(取材/阿部奈穂子、撮影/七五三木智子)

演者と観客の境を無くす

――るなぱあくのせきあっしショーが好評です。月に何回くらいやっているのですか?

 月によって違うのですが、多いときは週に2回、少ない時は月に1~2回という感じです。

――いつから始めたのでしょう。

 2017年から知り合いの紹介で始めました。最初はいろいろと苦戦しましたね。人目を引くために全身タイツはいたり、太鼓叩いてみたり、いろいろ試したのですが、素通りされることも度々で。

――ウケ始めたきっかけは?

 お笑いの研究を始めたことです。コロナ禍で仕事が減って時間ができたので、新たな芸を身に着けたりコロナ禍対応のネタを開発したりしてパワーアップした感じです。

 またコロナ禍に、前橋保連協さんの企画で公立保育所を16カ所回って、下はゼロ歳から上は6歳までの子どもたちの前でショーをやらせてもらったのも大きかったです。どうやったら子ども達を引きつけられるのか、より楽しんでもらえるのかをいろいろと学びました。

▲子どもたちを巻き込んで

――その結果、芸がどういう風に変わった?

 より分かりやすく、楽しみやすいネタや芸が増えました。子ども達を巻き込んで、みんなでひとつのショーをつくるというのを意識するようになりました。子どもを主役にして、あっしが引き立て役にまわり、演者と見る人の垣根をなくすことでより一体感が生まれるようになりました。

 あと、子どもたちは失敗やハプニングが大好きなので、それを芸に組み込んだりもしました(笑)。失敗、インチキ、ネタバラシがあっしショーの核となっています。

▲ハンバーガーを使ってリズムショー

▲傘回し

――せきさんが芸人を志したきっかけを教えてください。

 昔からお笑いが大好きでした。高校卒業後1度就職したのですが、やっぱりお笑いがやりたいと思い、会社を辞めて芸能プロダクション「人力舎」のお笑い芸人養成学校に入りました。第14期生で、同期にはモグライダーのともしげさんがいました。卒業して人力舎のタレントになったんです。

――代表的な芸は人間紙芝居。どういう芸なのでしょう。

 白くて光沢のある厚紙に、顔出しパネルのような穴を空けて絵を描きます。それを本のようにした物を自身の体にはめて、いろんな役を1人で演じてみせる紙芝居です。さまざまな仕掛けもあって、それもまた楽しんでもらえます。

▲人間紙芝居

――「人力舎」にはどのくらい所属していたのですか。

 5年くらいです。在籍中は、お笑いライブに出たり、テレビに出演したりして芸を磨いていました。ただ自分のやりたいことがうまくできなくなってきて、2011年に事務所を辞め、フリー芸人として群馬を拠点に活動を始めました。

――子ども向けエンターテイナーに転向した理由は?

 このまま続けていても進歩がないな、何かに特化した活動にした方が将来性があるなと思ったんです。

 もともと老若男女問わずいろんなところで芸を披露していたのですが、お酒の出る宴会の場とかでネタをやりにいった際、本来自分がやりたいお笑いがなかなかできなかった。逆に、子ども向け公演をやった時、とても反応が良く、やりやすかったのもあって、子ども向けに転向しました。

 数年前にお友達のシンガーソングライターのいわしピクニックちゃんが『子ども向けに振り切った活動をします!』と宣言していて、それを見てカッコイイなーと影響をうけたのもあります(笑)

▲目をキラキラさせてショーを見る子どもたち

――子どもは好きなんですか。

 最初は特に好きというわけではなかったのですが、子ども向けに転向してからは交流する機会が増えて仲良くなり、いまではショーのあと、観客の子どもと楽しく遊んだりしています。一緒に乗りものに乗ったり、追いかけっこしたり。

――せきさんと同じ衣装のちびっこあっしーも登場しましたね。

 2年位前に突然登場して、僕もびっくりしました。よく同じ洋服やグッズを揃えられたなと驚きつつ、やっぱりうれしいですね。

▲「あっしのすべてが好き」、ちびっこあっしーに囲まれて

――いまの活動は?

 平日は園や学校を回ったり、エフエムに出演したり。土日はるなぱあくや各地のイベントに出たり。今年、芸人になって20年目なんですが、やっと自分に合ったスタイルが見つかった感じです。これからの活動がとても楽しみでわくわくしています。

――最後に目標を教えてください。

 お金持ちになろうとか、有名になろうとか、全然思ってないんです。ただ目の前の子どもを全力で笑わせて、たくさんの子ども達に笑顔と元気を届けたいです。

せき・あっし

1983年沼田市生まれ。利根商業高卒。スクールJCAを経て2006~2011年、「人力舎」所属。2011年、群馬でフリーの芸人に。2017年から前橋「るなぱあく」でショーを始める。園や学校のイベント出演、まえばしラジオ「おはよう!まえばしcolor」火曜レギュラー