interview
聞きたい
【聞きたい みうらじゅんさん▶1】
「じょうもうくん」誕生秘話
2024.10.28
職業「イラストレーターなど。」と称し、マルチに活躍する、みうらじゅんさん。2024年10月に2年ぶりに開かれた「前橋BOOK FES」ではスペシャルサポーターを務め、全国にPRした。「マイブーム」など新たな活字を創り出す名人。インタビューでも新語が飛び出した。
履いているサポーター
―前橋BOOK FESが2年ぶりに開かれます。前回に続いて「スペシャルサポーター」に就任しました。
前回はよく分からないまま記者会見に出て、「履いているサポーターですかね」なんて言ったら、会場がなんかざわついて。こいつ、よく分からなくてここに来たんだなっていう感じはあったんですけど(笑)。
―異例の会見でしたね。
大学時代、高円寺の古本屋で買った海外の推理小説の話をしました。2、3㌻めくったら、端に「犯人はホテルのメイド」って書いてあった。最後まで読むと犯人は違ったんですけど、上等なジョークだなって。古本は古いだけじゃなくて、面白いことができるんだってことに気づいた。そんな話をさせてもらいました。
―大爆笑でした。そもそも、どういった縁でサポーターになったんでしたっけ。
糸井(重里)さんから記者会見の2、3週間前に「こういうのやるんだけど、みうらはどうよ?」って電話があって。「どうよ」って言われてもねぇ(笑)。断らなかったということです。それで記者会見に出たわけですけど、「硬くなりがちな会見をお前が柔らかくしてくれた」と糸井さんがおっしゃってホッとしました。
ご当地ソング『上州の風』
―そういうのが評価されて、今回も声が掛かったわけですね。前橋で6月に開かれた開催を告知する記者会見も盛り上げてくれました。
会場で、僕が最近、熟女の写真集をプロデュースし出版したことを言ったと思います。
―前回のブックフェス終了後に上毛新聞に掲載された4コマ漫画「じょうもうくん」を前橋新聞me bu kuで続編として出すようにお願いしましたが…。
もう、45年くらい前でしょうかね。「上毛新聞ですが、『じょうもうくん』というタイトルで4コマ漫画を毎日連載してください」と電話がかかってきたんです。
「毎日だからギャラはさぞかしいいだろうな」とか思いながら、とりあえず「じょうもうくん」のキャラクターを考えていたんです。すると、次の日、糸井さんから電話があって「お前、上毛新聞で四コマ漫画を連載するんだって?」と言うわけです。何で知っているのかなと思っていたら、その依頼の電話かけたの俺だからって、糸井さんは告白したんです(笑)。
―糸井さんとのトークでその話が出て、「ブックフェス2日間ありがとう」の広告に4コマ漫画「じょうもうくん」が掲載されたんですよね。
「伝説の」くらい打ってもらうと値打ちがあるような気がするんですけど(笑)。45年ぶりにして復活、じゃない、初お目見えしたのですから。これは奇跡ですよ。
―その続編を描いていただくわけには…。
断らせてもらっていいですか(笑)。あの一作に、もう僕の体の中にある前橋全開でネタを注ぎ込みましたから。
代わりにと言ってはなんですが、僕、「勝手に観光協会」というユニットをやっていて、日本全国のご当地ソングを勝手に作ってきたんです。群馬県は『上州の風』って曲です。これをブックフェスのテーマソングに使ってもらっても結構ですよ(笑)。逆に僕から言わせてもらうと、なぜ使わないのか不思議です。手前味噌ですが、結構いい曲だと思うんで。
―今回のブックフェスではどんなことをして盛り上げてくれるのですか。楽しみです。
いえ、予定はありませんよ。僕のトークショーもありませんしね。
―えっ、スペシャルサポーターなのに?
これって僕、いま責められているんですか(笑)。
今回はあだち充先生と糸井さんのトークショーがあるじゃないですか。あだち先生は群馬出身ですよね。言っときますが、僕は京都出身ですよ(笑)。
マイブーム、ゆるキャラ…
みうら・じゅん 1958年、京都市生まれ。武蔵野美術大造形学部卒。漫画家、エッセイスト、小説家、ザシタレ、ミュージシャンなど幅広い分野で活躍、職業は「イラストレーターなど」と公表している。「マイブーム」で新語・流行語大賞を受賞。「ゆるキャラ」の名付け親でもある。