interview
聞きたい
本と景観、まちづくり考える
盛岡市長交えトークセッション
2024.10.19
書籍購入額日本一の「本の街」盛岡市の内舘茂市長や起業家を招いたトークセッション「本に親しめる創造的な景観、まちづくりとは」が10月19日、前橋中央イベント広場で開かれた。前橋BOOK FESのプログラム。人口や自然で似通った両市のまちづくりについて語り合い、行政や一部の人だけでなく多くの市民が当事者として参加する進め方で意見が一致した。
高層マンションは必要か
初めて前橋市を訪れた内舘市長は「駅を降りて2つのことを感じた。けやき通りがきれいだったこと。もう1つは駅の敷地内にマンションが建築されていて、いいのかなと思った」と率直に印象を語った。
今年6月に盛岡市で開かれたまちづくりシンポジウムに参加したジンズホールディングスCEO、田中仁さんは「中津川沿いに高いマンションが建設され、好きだった盛岡の街が壊されると直感した。前橋や盛岡に高層マンションがどんどん建つと、街のよさが消えてしまう」と警鐘を鳴らした。
盛岡市に本社を構え、障がい者のアートを事業化しているヘラルボニーの代表取締役Co-CEO、松田文登さんは「全部反対とは言わないが、エリアを絞って開発すべき。地元に会社を置く誇りを持ちたい」と両氏の主張に同意した。
前橋市の小川晶市長はセッションに先立って講演した田中さんが「前橋は20世紀型の開発がされなかったおかげで、周回遅れでトップに立つ街になった」と指摘したことにふれ、「『水と緑と詩のまち』をどこまで追求するか。歴史を含め、みんなでアイデンティティーを確認することが大切」と強調した。
まちづくりは市民みんなで
本に関して、田中さんが「さまざまな人を誘因するコンテンツ」と評価すると、小川市長は「市立図書館がこの場所に移転する。前橋はこども図書館や地域の分館が充実している」と説明した。
内舘市長と松田さんはブックフェスの盛況ぶりに驚き、「盛岡でもブックフェスをやれたらいい」「よい思い出を残せる」とそろって評価した。
まちづくりについて、田中さんは「これまでのまちづくりはどこも『算数』で建物を造ってきた。建築費、減価償却費を計算して採算が合うか算数をして答えを出す。そうではなくて、新しい価値を生み出す考えが求められる」と指摘。3氏もこれに同調し、「地域に愛着持って地域に投資したい人材を増やしたい」(松田さん)、「みんなで一緒に力を合わせてやっていくことが盛岡の希望になる」(内舘市長)、「市民みんなで考え、みんなで行動できれば心強い」(小川市長)と結んだ。
トークセッションはブックフェス実行委員会の橋本薫事務局長が司会を務めた。