interview
聞きたい
あだち充さん、素顔見せる
BOOK FESで糸井重里さんと対談
2024.10.19
『タッチ』や『みゆき』で人気の漫画家、あだち充さんが10月19日、前橋プラザ元気21で開かれた前橋BOOK FESのトークショーに臨み、ホストの糸井重里さんと台本なしの軽妙なトークを繰り広げた。19歳でデビューして来年で55年。「才能がある人がいっぱいいた中で生き残れた運に感謝したい」と振り返り、「好きなことを適当にやってきたけど、読者がついてきてくれた。これから先はどうしましょう」と漫画家生活のオチはぼやかした。
デビュー55年「運がよかった」
あだちさんは伊勢崎市出身。前橋市との縁は前橋商業高校時代の3年間だけで、「通学路と駅周辺しか知らない」「きょうもどういうイベントか知らない失礼なゲストです」と恐縮した。糸井さんはすかさず「お客さんは(あだちさんの)顔を見にきていますから、内容はいいんです」と笑わせた。
70歳過ぎてから『タッチ』を読んだという糸井さんがあだちさんの作風を分析し、「主人公がシャイですね。前に出たがらない」と不思議がると、「デビューは熱血漫画でしたが、何か違う気がした。暑苦しい漫画は苦手。2番手、3番手あたりが居心地がいい」と自分流の漫画にした心境を明かした。
「少年漫画一筋で何度もピークを作っている」と感心する糸井さんに、「人気は高さでなく長さ。ヒット作を出したい野望はなかったが、30歳くらいから変に受けてしまい、忙しくなった。でも、読者が喜んでくれるのが伝わるとすごくうれしかった」と会場に詰め掛けたファンに感謝した。
糸井さんが「本は読まれなくなったが、漫画は読まれる。漫画の表現は無限の可能性がある。日本の未来を創れますね」と相槌を求めると、「その辺を考えると漫画が描けなくなっちゃうので、気軽にやります」と煙に巻いて会場の笑いを誘った。
最後は、糸井さんが運営する「ほぼ日」で社内漫画家を育成するプランに協力を求められ、「この人、フットワーク強すぎて」と苦笑いしながらも、「いや、協力しますよ。糸井さんは怪しい商売の代表みたいなもの。これからも変なことをいっぱいしてください」と逆に激励した。