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「頑張れ」ではない声掛けを学ぼう 
27日にゲートキーパー講座

2024.08.09

「頑張れ」ではない声掛けを学ぼう 
27日にゲートキーパー講座

 毎年9月10日は世界自殺予防デー。国はその日から16日までを自殺予防週間、県は9月を群馬県自殺予防月間として、自殺予防の取り組みを強化する。前橋市では、ゲートキーパー入門「味方になりきるコミュニケーション講座」が8月27日、朝日町の第二コミュニティセンターで開かれる。講師はNPO法人日本ゲートキーパー協会理事長の大小原(だいこはら)利信さん。また9月、11月、1月には群馬県看護協会主催の3時間の講座も市内で開かれる。(取材/柁原妙子リポーター)

味方になりきり寄り添える人になる

 普段元気でも、落ち込む日もある。大小原さんの「みんながゲートキーパープロジェクト」では、元気のない人にどう接するか、やさしく、実践しやすく学べる。

 例えば子どものテストの点数が100点、90点、そして50点だったら、親のあなたはその時々にどんな言葉を掛けるだろうか。「元気な人に頑張れと声を掛けるのは良いが、落ち込んでいる人には辛いもの。苦しくならない言葉掛けを知っている人をたくさん作りたい」と活動している。

 講座を始めたのは、15年前に受けた「今、橋の上にいます」と言う一本の相談電話がきっかけだった。思いとどまってくれとただ一心に相手の話を否定せずに聴いた。最後に「話してくれてありがとう、あなたが死んだら私は悲しい、また来週電話してください」と伝えた。一週間後、約束通りその人から電話があった。コミュニケーションを少し変えると命を繋ぐことができると確信した。

 それから1年でテキストを作り、講座を開始した。地道に続けていると仲間が増えた。前橋市などの自治体が理解してくれた。2022年に櫻井翔さんがキャスターを務めるニュース番組に出演したことが契機となり、広く全国から講座開催の依頼が入るようになった。

生きる人を支援する命の門番

 「ゲートキーパー」とは、厚労省は「悩んでいる人に気づき、声を掛け、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人」と定義している。資格はなく、様々な人がその役割を担うことが期待されている。

 自殺予防と聞くと、自分の言った言葉で相手が死んでしまったらと思うと怖い、関わりたくないと言う人がいるが、「できることはしないと後悔する」と説く。

 大小原さんの相談室にクレームの電話は今まで一度もない。それはアドバイスしないからだと自身で分析している。「普段からそういうコミュニケーションのできる人が増えれば、自殺する人が減る解決策になるかもしれない。自殺を0にはできなくても、減らすことはできる」と断言する。

ゲートキーパー入門「味方になりきるコミュニケーション講座」
会場 第二コミュニティセンター 3階ホール(前橋市朝日町三丁目36-17)
日時 8月27日(火)13:30〜15:00
定員60人
申し込み先
16日(金)までに前橋市保健所保健予防課(027-220-5787)へ電話にて
受講料無料

 

令和6年度うつ、自殺予防研修会「こころといのちのゲートキーパー講座」
会場 群馬県看護協会 群馬県看護教育センター 大研修室(前橋市上泉町1858-7)
日時 9月7日(土)、11月16日(土)、1月18日(土)いずれも13時〜16時
定員各120人
申し込み先
開催日の3週間前までに群馬県看護協会(027-269-5565)へ電話にて
受講料無料