interview
聞きたい
医療スタッフを拡充へ
まえばし医療センター
2024.08.01
休日や夜間の診療にあたる「まえばし医療センター」(前橋市朝日町)は新型コロナウイルスの流行などで激務となっている医療現場を改善するため、看護師や事務員を近く増員する。これまで対症療法で済ませてきたコロナ患者に対して治療薬の処方も始める。センターの運営に関して、市から業務委託を受けている前橋市医師会(須田浩充会長)が前橋新聞「me bu ku」の公開質問状に回答した。コロナなど感染症の爆発的な流行に備え、市は医師会と協議した上で医師を含めた臨時的な増員も検討するとしている。
市医師会が公開質問状に回答
公開質問状はコロナが夏の流行期に入り第11波の感染が本格化している中、一次救急診療所であるまえばし医療センターの運営について、7月23日付で医療スタッフの増員をはじめ4項目について質した。
前橋市医師会はこれを受け、24日に役員会を開き対応を協議、30日に文書と説明で回答した。
最大の質問である医療スタッフの増員について、市医師会は4月の医療センター開設に合わせて、小児科医と外科医を1人ずつ、看護師と事務員を3人ずつ増やしたと説明。さらに、現在14人いる看護師については4~5人、8人の事務員は3人程度の増員を図るため、すでに人員を募集しているとしている。
コロナが疑われる患者に対応する内科医は開設以来、常時1人で対応、このほか、休日当番院2カ所が診療にあたっている。センターに詰める内科医の増員について、市医師会は「休日当番で会員には負担を掛けており、すぐに対応するのはなかなか難しい。看護師の増員で円滑な医療を提供したい」と理解を求める一方、「前橋市と連携を図りながら検討していきたい」と増員に含みをもたせている。
コロナ治療薬 処方の方針に
コロナの治療薬の処方に関しては、これまで常備したことがなく処方例がないことを明らかにするとともに、導入の準備をしているとした。
治療薬を処方しない理由について、患者は初診がほとんどで服用している薬が分からず、飲み合わせによって重篤な副反応を起こす併用禁忌を避けるためだったと指摘。解熱剤や咳止めの処方といった対症療法で対応してきたという。
医療センターの前身である3月末までの夜間急病診療所時代からの“名残り”であり、本紙の指摘に加え、現場の医師からの要望も受けて必要に応じて治療薬を処方する方針に転換するという。
前橋保健所「医師含めた増員検討」
市医師会からの回答を受け、前橋市保健所に改めて内科医の増員について取材したところ、「医療センターの開設以来、現場の声を聞きながら医療スタッフを充実させてきた」と前置きした上で、「感染症が大流行し適正な医療を市民に提供できなくなる恐れが出てくれば、市医師会と協議した上で、医師を含めた増員も検討することになる」と柔軟な姿勢を示している。
質問と回答
(質問1)コロナが蔓延している事態にも関わらず、常駐する医師、看護師の数は変わらないのか。冬期のインフルエンザ流行期も含め、患者が増えることはある程度、事前に把握でき、臨機応変に対応できると思う。
(回答1)まえばし医療センター開設に合わせ、看護師、事務員ともに3名ずつの増員を行ってまいりました。開設以降も定期的に前橋市と協議を行っており、さらなる看護師、事務員の増員を進めています。医師については、開設に合わせ、日曜・祝日等の昼間対策として、小児科医、外科医各々1名の増員を行っております。
(質問2)まえばし医療センターに「十分なコロナの薬がない」というのは事実か。
(回答2)現在のコロナ陽性者には、対症療法としての薬を処方し対応しています。コロナの薬については、現在採用の準備を進めている状況です。
(質問3)民間の診療所もコロナの対応で疲弊している。流行期にまえばし医療センターを平日も開放、「緊急コロナセンター」として利用する計画はないか。
(回答3)当診療所は前橋市から一次救急診療所としての委託を受け、前橋市医師会員の協力のもと夜間診療(小児科、内科)については365日、昼間診療(小児科、内科、外科)については、日曜、祝日、年末年始等の運営を担っております。その他の平日の昼間は各自院の診療があり、そのような計画は難しい状況です。
(質問4)今回のコロナ流行に合わせて、前橋市医師会として何か対策を講じているか。対策があれば具体的に。
(回答4)前橋市と令和5年度末までに、コロナ対策の検討ワーキングを76回開催し、さまざまなことを協議し連携を図りながら現在も定期的に検討を進めています。各医療機関に対しては、感染状況の周知や感染対策などの啓発に努めています。