爪を整えて快適に歩こう
教えて Abeby代表、木嶋さん

――尾瀬・至仏山から下山中の50代の女性が巻き爪による足の痛みで歩けなくなり、県警ヘリで搬送されたというニュースがありました。

下山する際につま先に体重がかかり、痛い思いをされたのだと推測します。もしかしたら、靴が合わなかったか、靴を適切に履けていなかったかもしれません。つま先部分が圧迫され、巻き爪となった爪が足指を刺激した可能性があります。

それから、靴下も原因になることがあります。指先を強く圧迫する靴下も巻き爪にはよくないですね。新しい靴下に新調し、痛みが現れた方もいます。

――巻き爪の原因は何でしょうか。

歩き方だったり、外反母趾などの足指の変形も問題になりますが、よくあるのは誤った爪の切り方です。

いわゆる深爪もそうですし、爪の両端の角を切りすぎると巻き爪をはじめ爪の変形を起こしやすくなります。

――高齢者に爪の異常が多いそうですね。

お年寄りの８割は爪に何らかの異常があるとのデータがあります。巻き爪や割れやすい爪、薄い爪の方もいます。

肥厚爪（ひこうづめ）と呼ばれる爪が分厚くなる症状は70代以降の特に男性に多く見られます。

靴や爪の切り方、加齢も影響しますが、爪水虫が原因になることも多いですね。足裏などの水虫の菌が爪の中まで入ってしまって発症します。治療は爪の中まで薬を入れなくてはならなくなるので大変です。

――こうした爪の異常を放置しておくとどうなりますか？

歩くときに足先の踏ん張りが効かなくなり、安定した歩行がしづらくなります。

さらに、爪が剥がれたり、割れやすくなり、重症化すると靴を履くたびに痛みが走ります。

転倒のリスクが高まり、運が悪ければ寝たきりになることもあります。

――症状の改善や予防のためにはどんなケアが必要でしょう。

爪を切って、長さと厚さ、形を整えることが肝心です。

――厚くなった爪を切るのは大変そう。

お年寄りはまず体をかがませるのが難しい。目も細かい部分は見えにくいですし、手先も心配ですね。他の人にお願いすることになります。

――でも、家族でも他人の爪を切るのは怖いですね。肉を切らないか緊張します。

そうですね。病院では看護師さん、福祉施設なら介護士さんが担うことになりますが、看護師さんも変形した爪の切り方は指導されていません。介護士さんはそもそも正常な爪しか切ることができません。異常な爪を切ることは認められていませんので。

そこで、私たち専門家の出番があるわけです。

――具体的にはどんなケアをしますか。

厚くなった爪をニッパーで切ったり、ニッパーで無理なら電動のグラインダーで削っていきます。

長さ、厚さを整えたら、爪の両脇に溜まりやすい角質や汚れを取り除きます。ばい菌の温床になっていて変形を助長しますから。嫌な匂いも取れます。タコやウオノメのケアもします。

さらに、変形ができる原因を突き止め、再発しないようご指導します。例えば、爪に優しい靴や中敷きを提案したり、テーピングの方法を教えます。

――実際にケアを受けた方はどんな効果がありましたか？

足が痛くてリハビリを休んでいた方を拝見すると、爪が伸びて皮膚に食い込んで痛みが生じていました。爪を整えたら痛みが消えて再びリハビリができましたと喜んでいただけました。

肥厚爪により爪囲炎が起きていた方は、靴を変更したら解決できました。

――爪や足の大切さが分かりました。異常が確認出来たら、早めに専門家にケアしてもらうのがいいですね。

足から健康寿命を延ばそうと、足育を大事にしています。サロンでケアするほか、外出が困難な方には出張もします。

高齢者施設とも連携し、足や爪が原因で歩けなくなるお年寄りを一人でも少なくしたいと願っています。

足の変化にご本人は気づきにくいことが往々にしてあります。

健康でいてほしい気持ちを敬老の日のプレゼントとしてフットケアにお使いになってはいかがでしょう。もし、敬老の日のプレゼントに予約した方で「me bu ku」を見たと言ったら、予約内容に加えて10分間の足マッサージを特典でお付けします。