interview
聞きたい
【聞きたい せきぐちあいみさん▶2】
好きなことを全力でやった
2023.08.14
女優、モデル、ダンサー、You Tuberとさまざまなキャリアを持つ、せきぐちあいみさん。幅広い活動がVRアーティストとしての現在の仕事にすべて生きていると言います。すべて、全力でやったとか。それにしても、1300万円の絵ってすごいですね(聞き手:クライム社長 金井修さん)
撮影:小田駿一
1300万円の落札に驚き
―「VRアーティスト」の先駆者ですが、始めたけきっかけは何だったのですが。
YouTuberやレポーターをしていたとき、取材で体験したのが最初でした。『空間に絵を描くって魔法みたい』って純粋に思えてすぐに夢中になりました。
当時はVRを仕事にしている人はほとんどいなくて、自分の中では間違いなく仕事になるなと。SNSにアップしていたら、だんだん仕事になってきました。
―もともと絵は好きだったのですか?
幼稚園のとき、毎日お絵描きして『あいみちゃんは絵が上手だね』って褒めてもらっていました(笑)。
でも、卒業アルバムか何かに『将来の仕事』を書く際、母にも先生にも『絵描きさんは仕事にならないよ』と口をそろえて言われ、他の女の子のように花屋さんかケーキ屋さんにしました(笑)。ベタでしたね。
『ピカソとかいるのにな』なんて心の中では不満を抱えていました。
―「VRの絵描きさん」が仕事になり、NFTのオークションサイトに出品した作品が1300万円で落札されましたね。
『Alternate dimension 幻想絢爛』です。2021年3月でした。海外では数億円のアート市場ができているというニュースを知り、出品してみました。
作品を高く評価していただいたのは光栄ですが、びっくりしましたね。デジタルアートが売れるのはまだ先だと考えていたので。コロナでネットへの注目が高くなったからかもしれませんね。
好きなことを仕事にできるのは幸せなことです。仕事をしていると辛いことや壁に当たりますけど、好きなことなら絶対に乗り越えられるし、成長する糧になると思うんです。
―演劇やダンス、YouTubeといろいろな分野で活動してきました。いまの仕事に影響していますか。
すべての経験が生きています。やってきたことがすべて繋がったと思います。
どの仕事も全部好きで、全力でやってきました。
『器用貧乏』とか『一つに絞った方がいい』とかアドバイスされましたけど。好きなことをやめるのは違うなと反発していました。
結果的によかったと思います。舞台の経験があったからライブペイントの構成を作れるし、ダンスをしていたから魅せる動作ができる。YouTuberだから効果的に情報発信できるわけです。
点と点が線になり、いまの仕事で花が開きました。
「日本人の顔」喜びと責任
―フォーブス・ジャパンが選ぶ日本人の顔「2021 Forbes Japan100」にも入りましたね。
ありがたいことです。次代を担う先駆者や未来をつくるリーダーとしてお墨付きをいただいたわけですから。期待に応えなければなりません。うれしさとともに責任も感じます。
海外での個展では現地や日本の政府関係者も来場してくれます。どの国もVRの未来に興味をお持ちなのでしょう。
国と国を繋ぐなどと大それたことはできませんが、VRアートを通じて世界各国の文化交流が広がるための一滴になれれば幸いです。
―経済産業省や内閣府の研究会や会議のメンバーにも入っています。どんなことをしているのですか。
Web.3.0とメタバースに関して、昨年からメンバーになり、意見やアイデアを求められています。
新しい概念なのでいろいろな可能性を秘めつつも、どう運営していくか、みんなが正解を模索している状況にあります。そこで、どんな可能性があるのか、どんな問題点があるのかを洗い出しています。
メタバースには産業界も注目していますが、無法地帯では新規参入するのが難しい。逆に規則で縛りすぎるのではつまらないし、意味がない。ガイドラインを作成するお手伝いをしています。
せきぐち・あいみ
神奈川県生まれ。女優、モデル、ダンサー、歌手、YouTuberを経て、2016年からVRアーティストとして活動を始める。世界各国でVRパフォーマンスを披露。2021年、NFTオークションで作品が1300万円で落札された。「2021 Forbes Japan 100」に選出される。
かない・おさむ
1961年、沼田市生まれ。システム開発のクライム社長。プログラミング教育先進県を目指し、「ぐんまプログラミングアワード」を立ち上げる。