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糸井さん、赤城山で何する?
鳥居峠の旧山頂駅舎を取得

2025.02.10

糸井さん、赤城山で何する?
鳥居峠の旧山頂駅舎を取得

 糸井重里さんが社長を務める株式会社ほぼ日(東京都千代田区)が赤城山頂にあるケーブルカーの旧山頂駅舎を取得した。工事が可能となる今春から改装に着手、早ければ今秋にも開業する。「何ができるのか」は模索中。糸井さんと赤城山といえば、かつて徳川埋蔵金を探したプロジェクトを思い出すが…。

ほぼ日が今秋にも事業開始

 ほぼ日が取得したのは前橋市と桐生市にまたがる鳥居峠にある「赤城山鋼索鉄道赤城山頂駅舎」。現在は「赤城山頂駅サントリービア・ハイランドホール」の名称でレストランとなっている。

 駅舎はケーブルカーが廃線となった1967年以降、ほぼ無人のまま置かれ、取り壊される危機があった。山頂付近で飲食・宿泊業を営んでいる大沼山荘グループが2013年にレストランを開業、2018年には国の登録有形文化財となった。

▲雲海の見られる鳥居峠

▲糸井さんが取得した赤城山頂駅サントリービア・ハイランドホール

 グループの代表を務める塩原勲さんが他の事業に注力するため後継を探していたところ、ほぼ日が名乗りを挙げ昨年10月までに取得した。

 ほぼ日はクルーと呼ばれる社員が足しげく赤城山に足を運び、Webサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の中で「あかぎのまど。」と題した情報を随時配信、進捗状況を報告している。

 糸井さん自身も時々、調査を兼ねて赤城山での遊びを楽しんでいる。1月に発行された前橋商工会議所会報「糸都」では、「僕も赤城でやれることがちょっと見つかったんです。自分の親しい場所と友達ができたんでね」と楽しそうにインタビューに答えている。

 レストランは現在、冬季休業中。雪解けを待って改装工事に入る。厨房施設も残っており、飲食を継続する公算は高く、現在は冬季閉鎖となっているのを通年営業にするとみられる。

▲赤城山頂駅サントリービア・ハイランドホールの店内

 バトンを渡した塩原さんは「糸井さんやほぼ日クルーの柔軟な発想で、想像もできない事業を期待している。自分はほぼ日を赤城山頂という大きな港へ率いるタグボートの役割を果たし、事業が円滑に進むよう努めたい」と期待している。 

 赤城山頂をめぐってはスノーピーク(新潟県三条市)が指定管理者となり、ハイランドホールの改修終了と同時期となる今秋にも新設される大規模なキャンプ場と周遊拠点になるランドステーションを運営する。

 ランドステーションはハイランドホールの近くにあり、相乗効果が期待される。

▲塩原勲さん

10年の短命で終わったケーブルカー

 赤城山鋼索鉄道は東武鉄道が1957年7月、黒保根村(現桐生市)の利平茶屋駅-赤城山頂駅間(1・1㌔)で開業した。自動車ごと運ぶ計画もあったが、技術面から断念した経緯がある。マイカーの普及と前橋駅と赤城山頂を結ぶ道路が改良されたことで、前橋からの観光ルートが主流となり、利用が減少。1967年11月、わずか10年で休止となり廃線となった。

▲前橋市と桐生市の境

あるとしか言えない徳川埋蔵金

 赤城山中には江戸末期に幕府が密かに隠した徳川埋蔵金があるとの噂が根強く残っている。糸井重里さんは1990年、テレビ番組でプロジェクトチームを結成、3年近くにわたって発掘作業にあたり、番組は高視聴率を獲得したものの埋蔵金は発見できなかった。糸井さんは「あるとしか言えない」と自著で述べている。

▲夜の赤城山頂駅