かつどん なかや
昭和のカレーは懐かし色

前橋市の中心街にあるカウンターだけの小さな店です。看板のかつ丼は旨い、安い、早いの三拍子そろい踏み。タレ、ソース、玉子と多彩ですが、本日はカレーの気分です。「昭和カレー」をお願いしました。

「昭和」といえば、想像できるでしょう。辛くなく、スパイシーでもなく、とろ～り黄色いカレー。懐かしさを狙って提供する居酒屋やラーメン店もありますが、こちらの店はこれが昔からの変わらぬ味です。

丼にたっぷりのカレー。カツが３枚乗っています。「これ掛けてみてね」。女将さんの中山のり子さんがカウンターにそっと醤油の小瓶を置いてくれました。ソースもいいけど、このカレーには醤油ですよね。

カレーはタマネギやニンジンが溶けかかり、ルーと一体となっています。ほっとする優しい味。かつとは別に豚肉も入っています。昭和も贅沢になりました。

かつは注文があってから、丁寧に衣を付けて揚げます。忙しくても作り置きはしません。

サクッと揚がったかつ。１枚はそのまま行きます。歯が肉にすーと入る快感を覚えます。

２枚目は醤油を掛けて、味の変化を楽しみます。しばし、カレーライスに没頭したら、最後は御褒美にソースを掛けたかつをいただきます。１つの丼で感じられる幸福。「口福」というやつですかね。

店は「家族全員がかつ丼大好き」な中山家が家族で経営しています。おにぎりを豚肉で巻いて揚げた「かつむすび」はテレビや雑誌で紹介され、すっかり全国区になりました。

息子の啓さんが西片貝町でテイクアウト専門店併設の工場を担当。冷凍かつむすびも開発して全国から注文が寄せられています。