宮城飯店
焼き肉しますか？「はい」

「焼き肉しますか？」。「はい、焼きます」。「では、こちらのテーブルへどうぞ」。暖簾をくくると、定員さんからこんなふうに案内されます。定食やラーメンのお客さんは煙の来ない座敷席に通されます。

焼き肉用のスペースはいつもガテン系のお兄さんたちが多いのですが、この日はなぜかお年を召した女性グループばかり。「ここのお肉、最高ね」「追加しない？」。みなさん元気はつらつです。

焼き肉は牛肉がカルビとタンのみ。豚肉は７種類あります。TONTONの町・前橋でも宮城地区は養豚が盛んな地域。ここは豚肉で攻めますか。でも、カルビは（上州牛）とあるし…。どれも安いし…。

ということで、ご注文はカルビ定食に豚のタン塩、カシラ。昼から豪勢なことになりました。

カルビはさすが上州牛。脂身がすごい。大ぶりで分厚く切ってくれます。全開だったロースターの火をやや弱めて焼いていきますが、時折、脂がファイヤーします。思い切ってレアでいきましょう。

タレに付けて、ご飯と一緒に。な、なんだ、これは旨い。肉の柔らかいことといったら。それに、タレも絶品。しつこくない甘さは野菜や果物からでしょう。いや、最高にご飯に合います。

カルビを最後のお楽しみに残して、豚さんをいただきますか。レモンダレのタン塩はいい口直し。カシラも柔らかくて、これはどれもいい肉です。定食で食べたことのあるレバーも食べたいけど、さすがにもう無理。最後の２切れ、心して上州牛を堪能します。

歴史を感じる店構えですが、テーブルや床はべとべとせず、ロースターもピカピカ。お母さんとおぼしき方に「店はいつからやっているんですか」と聞くと、「私が18の時からだから…。あっ、ちょうど50年ね」と大笑い。家族経営の温かい店です。