【教えて金井社長】前橋×デジタル田園都市vol.1
デジタル田園都市構想ってなに？

――デジタル田園都市国家構想ってなんですか？

「年々、東京や大阪などの都市と地方の格差は大きくなっています。都市は人が多く、経済、文化あらゆる面で活力がありますが、地方は人口減少が進み元気がありません。デジタル化を進めることで、地方と都市との差を縮めようというのがデジタル田園都市国家構想です。

デジタル化とは、コンピューター技術のチカラを借りて、新たな価値を生み出すこと。それによって、地方の持っている課題を解決し、どこにいても質の高い生活ができるようにしましょうという構想です」

――デジタルとかコンピューターとか聞くだけで、「私は付いていけない」と拒否反応を示す人は多いですよね。特に地方のお年寄りは。

「いやいや、コンピューターに付いていかなくてもいいのです。まず、人間がいて、その人が便利で快適に生活できるようにコンピューターがお手伝いするっていうイメージですね。コンピューターの知識のない赤ちゃんからお年寄りまで、いつの間にか恩恵を受けている『人間中心のデジタル社会』を実現しようとしています。

例えばいま、ペイペイやメルペイなどバーコード決済という買い物の仕方がよく使われています。でも、あれはスマートフォンを持っていて、やり方が分かる人しか利用できません。

そうではなくて、スマートフォンもお財布も何も持たずにお店に行って、お店のタブレットに顔をかざすだけで、買い物ができたら、どうでしょう。面倒がなくなり、とても便利ですよね」

――デジタル田園都市構想に前橋がどう絡むのですか？

「この構想を実現するためには、どんな風に進めていくかというプランが必要ですし、お金もかかります。政府が『デジタル田園都市国家構想推進交付金』という制度を作ったので、『地方でプランを提出してください』『優秀なものに交付金を出します』という流れになったんです。

この6月、前橋市が申請した『まえばし暮らしテック推進事業』が見事に採用されました」

――どのくらいすごいことなのでしょう。

「前橋が地方都市のデジタル化のリーダーになるということです。『デジタル田園都市国家構想推進交付金』は額によって、タイプ１から３に分かれています。最も金額が大きいのはタイプ3で、前橋市はそのタイプ3に選ばれました。ほかにタイプ3に採択されたのは、北海道更別村、福島県会津若松市、香川県高松市など合計6自治体。いずれもデジタル化を積極的に進めている市町村です。

特に、会津若松市は大企業のＩＴ拠点が続々と進出し、まるで日本のシリコンバレー。そういった市と、前橋が肩を並べたことになります」

――前橋に来る補助金っていくらくらい？

「事業総額7億4153万円のうち、4億9435万円の補助を受けられることになりました。ただし、条件もあります。一つは、申請したプラン『まえばし暮らしテック推進事業』の一部を10月までに動かすこと。

もう一つは、2022年度中にすべてを完成させ、実証実験もして、良いものを日本の他の地域でも使えるようなカタチにすること。前橋モデルを次々と全国に発信していくのです」

――それはすごい。経済効果も期待できますね。でも、2022年度中にとは忙しい。

「6月に採択されてから、関係各所が急ピッチで動き出しています。前橋の企業だけの力では成し遂げられないので、外部からの応援も必要です。

まず7月、世界を代表する会計＆コンサルティング会社『デロイトトーマツ』がアクエル前橋に拠点を構えました。今後もIT関係の企業などが続々と、前橋に進出してくると思いますよ」