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アートが街に特需
前橋国際芸術祭が好調

2026.10.20

アートが街に特需
前橋国際芸術祭が好調

 第一回前橋国際芸術祭は9月19日の開幕から1カ月が経過した。舞台となっている前橋市中心街は連日、県内外から多くの来場者が訪れ、にぎわっている。主会場のアーツ前橋は最多入場者数を続々と更新。飲食店やホテルを中心に「芸術祭特需」に沸いている。

アーツ前橋、最多入場記録

 アーツ前橋は9月19日から10月18日までの1カ月間、1万3079人が入場している。

 初日に1156人が入場し有料入場者数として開館以来初の1000人を突破すると、シルバーウイーク中の9月22日には1705人を記録、過去最多だった入場無料の岡本太郎展(2018年10月28日)の1558人を上回り、過去最多を更新した。

▲初日にアーツ前橋に並ぶ来場者

 国際芸術祭には入場に際してパスポートチケットが必要な有料会場がアーツ前橋をはじめ、まえばしガレリア、寺町藝術センターなど9カ所ある。

 有料会場以外にもアーティストの作品を無料で閲覧できる施設や空間があり、すべて500㍍四方の中心街に点在している。

▲4コマ漫画のようなフラッグが続く

▲音が聞こえるオリオン通り。見どころも多い

 中央通りには尾花賢一さんと石倉敏明さんが共同制作した「赤城山リミナリティ Part3 山と凧と十二様」と題したコミック調のフラッグがアーケードから吊るされ、オリオン通りには渋谷慶一郎さんが手掛けるサウンドインスタレーションが流れる。

 実行委員会事務局長の橋本薫さんは「歩いて回れるコンパクトさがいいとお褒めの言葉をいただいている。アーティストが前橋をリサーチしたり、滞在して制作して、地元の人でも知らない歴史や文化を掘り起こしてくれ、シビックプライドを醸成してくれた」と予想以上の地元の盛り上がりを歓迎している。

ホテルの稼働率が上がる

 一方、県外からの来場者も多く、外国人の姿も見られる。「欧米やオーストラリアから来られたと思われる人もいて、『国際芸術祭』なんだなと改めて思わされた。平日でも人が多いのはいいね」と中心街の商店主は笑顔で話す。

 前橋市内のホテルの宿泊状況は軒並み好調だ。JR前橋駅前のドーミーイン前橋は「シルバーウイークはすべて満室。スポーツイベントもあり、10月も満室に近い日が多い」(フロント)と話す。

 中心街に近いアパホテル前橋駅北も「9月、10月と稼働率が高く推移している。普段はビジネスユースが多いが、家族やカップルで訪れるお客さまが増えている」と芸術祭効果を喜ぶ。

▲馬場川に釣り糸を立てる「ばばっかわ男」。向こう側が白井屋ホテル

 展示会場の一つでもある白井屋ホテルは芸術祭に合わせた宿泊プランが人気を集めている。「海外からの団体のお客さまにもご予約いただいており、前橋がアートを目的に訪れるデスティネーションとして、少しずつ認知されてきていることを実感しています」と堀口大樹総支配人は分析している。

▲ハウゼビル4階に展示された蜷川実花 with EiMの作品

人気飲食店も満員御礼

 飲食店をはじめ中心街の商店も恩恵を受けている。

 芸術祭の食のプログラム「前橋食景―シン郷土料理発掘の旅―」に参加しているピッツェリアペスカ前橋まちなか店は「ランチは新規のお客さまがすごく増え、週末はお待ちいただくことが多い。話ぶりから県外からお越しになられており、芸術祭の効果でしょう」と大塚雅義事業本部長。

▲ペスカのマルゲリータ。感動する美味しさ

▲ノーチェのヴェスビオ(左)とガンベレッティ

 同じくプロジェクトに参加しているノーチェアズールも満席が続く。オ―ナーシェフの阿部隼人さんは「予約なしで来店される方が多く、芸術祭効果だと認識しています」と指摘。シン郷土料理として開発した上州牛、ネギ、キノコと半熟玉子の「すき焼きピッツァ」は売り切れになることが多いという。

▲水紋の小澤亮太さんとアルケノートの仕掛け人、田中隆太さん

 飲食店以外にも効果は広がっている。

 展示会場の一つになっている「本屋 水紋」は屋台のような街歩きの記録をZINE(自主制作の本)する活動「アルケノード」の移動用の屋台を展示している。トークショーも企画しており、講師の著書や街づくり、アート、建築の本が売れているという。

 JR前橋駅構内にある「前橋百貨」は電車で訪れた人たちが前橋土産を購入している。売り上げは対前年比で9月が10・1%、10月(17日まで)が19・5%伸びており、さらなる売り上げ増を目指す。