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前橋の玄関口で健康を守る 
前高同期の医師と薬剤師が駅ナカ医療

2026.08.25

前橋の玄関口で健康を守る  
前高同期の医師と薬剤師が駅ナカ医療

 前橋駅に今秋、診療所と調剤薬局、オンライン診療を組み合わせ、駅で診察から薬の受け取りまでできる「スマート健康ステーション®」が誕生する。JR東日本が展開する事業で、北関東では初めて。診療所を開く前橋ふえきクリニック院長の笛木真さんと薬局を出店するヘルスケア代表の佐藤岳彦さんは、県立前橋高の同期生だ。ともに還暦を過ぎた2人が、「前橋の役に立つなら」と一肌脱いだ。
(取材/阿部奈穂子)

63歳で受けたJRの打診

 JR東日本から笛木さんに打診があったのは2年前。前橋駅北口でクリニックを開いていることから、「外から医療機関を呼ぶのではなく、地元の方々と連携してスマート健康ステーション®を進めませんか」と声が掛かった。

 当時63歳。新たに資金を投じ、医師を探し、もう一つ診療所を持つ。簡単に決められることではなかった。それでも、診療所ができれば前橋駅を利用する人の利便性は高くなる。「せっかくお声掛けいただいたのだから」と引き受けた。

▲前橋駅から徒歩3分の場所に建つ前橋ふえきクリニック

 もう一つ必要だったのが調剤薬局だ。前橋ふえきクリニックは院内処方のため、出店してくれる薬局を探さなければならない。「医院と薬局は信頼関係がないとできない。商売、商売という関係にはしたくなかった」。そこで笛木さんが思い浮かべたのが、前橋高昭和54年卒の同期、佐藤さんだった。

 佐藤さんもすぐには決められなかった。1998年に前橋市幸塚町でヘルシー薬局を開き、その後は桐生市にも出店。自身も還暦を過ぎ、さらに一店舗を増やすには勇気が要った。前橋駅の乗降客が決して多いわけでもない。

 それでも、「笛木先生から頼まれたら断れないよ」。最後に背中を押したのは、「生まれ育った前橋のお役に立ちたい」という思いだった。

▲改札のすぐ脇、ヘルシー薬局まえばしエキナカ店を開業する佐藤さん

駅で診て、帰りに薬を

 前橋駅構内のかつてパン店だったスペースを二つに分け、9月1日に「ヘルシー薬局まえばしエキナカ店」、10月1日に「前橋エキナカ診療所」が開く。

 一足早くオープンする薬局は、グレージュを基調に丸い照明を配し、ホテルのラウンジのような落ち着いた空間に仕上げた。

 「忙しい駅の中だから、少しでも落ち着いた空間でくつろいでほしい」と佐藤さん。全国の医療機関の処方箋を受け付けるほか、処方薬を駅のロッカーで24時間以内に受け取れるサービスも導入する。

▲木目とグレージュのインテリアが洒落た薬局

 前橋駅周辺にはドラッグストアなど、薬を手に入れられる場所がないことから、一般用医薬品のコーナーも設ける。胃薬や痛み止め、酔い止めなどをそろえ、通勤、通学途中の急な体調不良にも応える。

 営業時間は平日8時から19時まで、土曜8時から12時までと長い。日曜、祝日は休む。

▲右手には広い調剤室

 1カ月後の10月1日に開く診療所は、薬局よりコンパクトな空間だ。機器も必要最小限にとどめ、一次診療を担う。

 「専門性よりも利便性を優先する。手の込んだ検査や入院が必要なら、地域の医療機関に紹介する」と笛木さん。既存の医療機関と競うのではなく、必要な医療へつなぐ振り分け役も担う。

 「朝、いつもの血圧の薬をくださいと受診して、帰りに薬局で受け取る」といった使い方や、学生、通勤客への予防接種も想定する。

▲前橋エキナカ診療所を開く笛木さん

 診療時間は当初、平日の8時から12時、16時から19時。土日、祝日を休診するが、「休日診療や診療時間の延長も模索し、より多くの人に役立つ診療所を目指す」と笛木さんはいう。

 高校卒業から47年。それぞれ医師、薬剤師として地域医療を支えてきた同期生が、今度は並んで前橋の玄関口の健康を守る。

スマート健康ステーション®とは

 JR東日本が、駅を日常の医療拠点として活用する取り組み。診療所や調剤薬局、オンライン診療などを組み合わせ、通勤や通学、買い物の途中でも医療につながりやすい環境を整える。阿佐ケ谷、上野、川口、仙台、東京、鶴見、西国分寺、西千葉の8駅で展開している。前橋駅では改札を出て左手にオンライン診療ブース「LX Doctor」を設置する予定。個室ブース内から医師のオンライン診療を受けることができる。