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チェロの音に平和の祈り乗せて
石原まりさんコンサート
2026.07.27
前橋市出身で元九州交響楽団チェロ奏者、石原まりさんの平和を願うコンサートが、7月29日、8月5日、6日、9日、15日に前橋中央イベント広場で開かれる。いずれも16時から20時。出演は石原さんのほか、ピアノや箏、管楽器などの演奏、歌、詩や絵本の朗読など多彩で日替わり。石原さんは「集まった人みんなで心の交流ができる場にしたい。飛び入りも歓迎します。平和を思うモヤモヤした気持ちなど、日常では出せないものを表現したい人がいたら、是非参加してください」と呼びかけている。
(取材/柁原妙子リポーター)
無伴奏チェロ組曲を7日に分けて演奏
コンサートは既に7月18日、19日にも行われた。19日、陽が落ちかけて少し暑さが和らいだ頃、プログラムの合間で客席にいた石原さんは「18時になったので、バッハを弾きます」と言って舞台へ戻り、無伴奏チェロ組曲を弾き始めた。イベント広場を中心に、心地よい中低音がアーケードにも響く。目を閉じ、弦と弓で音を紡ぎ出す石原さんの姿は、祈りを捧げているようにも見えた。
組曲は、いずれの回も18時から、初日に第1番、翌日に第2番、29日に第3番、8月5日に第4番、6日と9日は第5番、最終日15日に第6番という日程で演奏される。
この名曲は番号が進むごとに難易度が上がる。石原さんは「5番、6番はまだ手中にない」としながらも、「20年は弾かないとモノにならないので、取り組み続けます」と意気込む。
開催日は「81年前の前橋の空襲に関係する日、広島長崎、終戦の日を選びました」。
「なぜ争いはなくならないのか」。小学生の時に石原さんの中に生まれた疑問は、燠火のようにずっと燻っていた。私たちの持つエネルギーでこの世界を作っているのなら、今、なぜこんな事になっているのか。「仕方ない」の連鎖の中で、戦争に巻き込まれ放置されている人がいる。今すぐ止めようと思えば止められるものなのに、すぐ終わらせられない怠惰な自分がいる。
平和を願い、音楽で何かできないかと模索する中、平成28年熊本地震や豪雨災害に際し、九州交響楽団の慰問演奏での経験で感じた、本当にその場に音楽が必要なのかという懐疑心も頭をもたげる。
プライベートでも苦しむことがあり、悶々とした気持ちでいた石原さんの背中を押したのは、父親からの「動くのは自分からだよ」という言葉だった。
九州交響楽団を退団後、在福中に「みんなとコンサート」という名前で活動を開始、帰郷して前橋での開催は今年が初めてとなる。
織りなす縁が出会いを繋ぐ
19日のコンサートは入れ替わり立ち替わり、常に20人ほどの聴衆が集った。
石原さんの「G線上のアリア」「モルダウの流れ」「惑星より『木星』」などのクラシックで開幕。作曲者や曲にまつわる解説を交え、飽きさせない。
次いで、前橋を中心に活動する絵本作家で朗読家、空羽ファティマさんにより、石原さんのチェロと中西容子さんのピアノをBGMに「ラクダのキャメルンシリーズ」から、抜粋で究極の愛を伝えるパワフルな朗読会が繰り広げられた。
▲舞台右から空羽さん、石原さん、中西さん
その後は飛び入りで2組が演奏。
伊勢崎を拠点に『虹色エイサー』の名前で活動する親子デュオにより、BEGINの「三線の花」、沖縄音楽「十九の春」など数曲が歌われ、会場に沖縄の風を運んだ。
父親の吉村泰志さんが歌い、中学3年生の息子、尚真さんが三線を奏でる。前橋市芸術文化れんが蔵(三河町)で8月7日(金)〜9日(日)に開かれる「戦後81年企画 地域から戦争を考える その13」の、7日の若者トーク・セッションに尚真さんが参加する縁で、たまたまこの日のコンサートを楽器持参で聞きに来ていた。
▲ 吉村泰志さんと尚真さん
ピアノ教室主宰の中西さんは、絵本を見てピアノの曲を作るというユニークなレッスンを行っていた。教え子の黒島碧生さんは、中西さんに出会う前の小学4年の頃から既に作曲していたという。8月2日に吉岡町の明治皮膚科で開かれる朗読コンサートで、空羽さんの物語にオリジナル曲を作曲、初披露する。その縁で、朗読コンサートの雰囲気を掴むために訪れたところ、舞台に呼ばれて登壇。「やさしさに包まれたなら」と、心が癒されるような美しいコード進行の自作曲を披露した。
三線の尚真さんと黒島さんは、同じ伊勢崎二中の同学年で、偶然の巡り合わせに驚く場面も見られた。
▲黒島さん。生徒会役員もしている
石原さんは、今の自分にできることとして、消防団に入団。また、小川前橋市長、群馬県議会議員、中曽根衆議院議員などにも面会した。そうした中で「私でも何かできる」という手応えを感じ始めている。
「俳句を詠むのでもいいし、人の前で気持ちを込めて歌いたいなどでもいい。参加をしたい方は当日いらしてください、歓迎します。このコンサートが、前橋を盛り上げる楽しみの一つになれれば嬉しいです」と話していた。
▲朗読に即興で曲をつける石原さん
▲今夏市内外で開催する戦争と平和に関する催しを掲示
2026年 平和を願い、音楽でつながる夕べ
みんなとコンサート
日時 7月29日(水)、8月5日(水)、6日(木)、9日(日)、15日(土)
いずれも16時から20時
会場 前橋中央イベント広場(前橋市本町2-12-1)
入場無料、出入り自由
石原まり プロフィール
1987年宮城県生まれ。前橋市立東小学校、群馬大学教育学部附属中学校、埼玉県立大宮広陵高等学校音楽科、ベルギー・ナミュール王立音楽院卒業。
チェロをレオニード・グルチンなどに師事。
煥乎堂音楽教室チェロ科講師(2013-2015)。
九州交響楽団(2015-2022)ほか、様々なオーケストラ、アンサンブル、音楽祭に参加。
2023年2月より「みんなとコンサート」活動開始。


