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若い世代が演じる特攻兵
「ホタル帰ってこい」、5月1日予約開始
2026.04.29
戦争を知らない世代が、特攻隊員の言葉を声で受け継ぐ。朗読劇「ホタル帰ってこい 2026」が6月20日、前橋市立図書館で開かれる。大戦末期、軍の指定食堂で特攻隊員たちを親身に世話した鳥濱トメの姿を、娘の礼子さんが自らの体験を交えつつ語った作品だ。20代、30代の若手を中心に10人が出演する。
(取材/阿部奈穂子)
命を物のように扱う理不尽さ
「ホタル帰ってこい」は前橋市在住の役者、岩渕健二さんが長年取り組む「ヨロコンデ 語り継ぎたい企画」4作品の一つ。原作は『ホタル帰る 特攻隊員と母トメと娘礼子』(草思社)で、これまで3回形にしてきた。
今回は岩渕さんが語り部として参加し、座長を務める今井友美さん(前橋市在住)がトメを演じる。
▲座長の今井さん
「子どものころから特攻兵に関心があった。10代、20代の若者の命が、物のように扱われることを理不尽に感じてきた。そこに正義はあるのかと調べるうち、トメさんのことも知り、いつか演じてみたいと思っていました」と今井さん。17歳の息子を持つ今は、なおさら身につまされるという。
軍神ではなく若者の葛藤を描く
「特攻隊は軍神ではない。一人ひとりに物語があり、それぞれの葛藤を抱えていたことを伝えたい。彼らの言葉は脚色せず、原作に残されたまま使っています」と岩渕さん。
▲前橋市立図書館などで子どもたちに読み聞かせを続ける岩渕さん
特攻兵のすべてが死を覚悟していたわけではない。トメに子どものように甘える者もいれば、心を決めきれない者もいた。突撃できなかった者もいたという。
「それが戦争の真実。いまの若い人たちに見てほしい」と呼びかける。
士官学校出で、一度出撃しながら引き返した過去を持つ中原少尉を演じる阿部和平さん(27)は、「花を愛する優しい男で、本当は死にたくなかった人だと思う。自分の存在すら達観して見つめていた、その心のありようを表現したい」と話す。二度目の出撃で帰らぬ人になった。
▲「このとき、どんな気持ちだったと思う?」と問いかける岩渕さん
同じ世代の命に向き合う
「俺の余した30年分の寿命をあげるから、人より30年余計に生きてくれよ」
そうトメに言い残して出撃した勝又少尉役は、都丸詩織さん(38)が担当する。「命を落とすとわかっていながら、最後まで明るさを失わなかった青年の想いを伝えたい」
少年兵を演じる中原縁さん(20)は「一人の特攻兵である前に、子供らしい生意気なところ、余裕のないところも演じたい」と話す。
生き残りの烙印を押され、「おれたち、ホタルになって帰ってくるよ」とトメに告げ、再度出撃した宮川軍曹役を演じる福島城さん(31)は、「日本のために散った先人の方々に失礼のないよう、一言一言に魂を込めます」と力強く語る。
▲特攻隊員を演じる。左から中原縁さん、都丸詩織さん、阿部和平さん、福島城さん
母、トメと共に特攻兵を見守る女学生、礼子役の関絵里花さん(20)は「稽古を重ねるにつれ、当時の厳しい状況や礼子さんの気持ちを追体験するようになった。観客の皆様に見てよかったと思ってもらえるように精一杯努力します」と話す。
戦後81年の今年。忘れてはならない歴史を、若い声が舞台に呼び起こす。
▲原作は「ホタル帰る」
朗読劇「ホタル帰ってこい 2026」
日時:6月20日(土)10時30分、14時の2回公演
会場:前橋市立図書館 3階視聴覚室(前橋市大手町2-12-9 )
定員:各回50人(予約優先)
入場無料
※予約開始は5月1日(金)。申し込みは前橋こども図書館に電話、またはリンク(https://logoform.jp/form/dWZu/1499579)から。
問合せ・予約先
前橋こども図書館
- お問合せはこちら
- 027-230-8833


