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前橋テルサ 広がる夢
2社が事業提案をプレゼン
2026.04.04
空中庭園と2つの「ヒロバ」を持つホテルで「新たな目的地」へ。高齢者サービス施設にアートギャラリー、スポーツジム、図書館を設けます―。前橋市が解体方針を示している前橋テルサをめぐり、市の事業提案型公募に応募し不採択となった事業者2社が4月4日、前橋プラザ元気21で開かれたシンポジウムで事業内容を公開した。シンポジウムには350人が参加、傍聴した市民からは両者の提案を高く評価する声が上がっている。
空中庭園、広場のあるホテル
「前橋テルサと中心市街地の未来を考えるまちづくりシンポジウム」(前橋デザインコミッション主催)の中で公募に参加した4社のうち、2社が市に提案した事業内容をプレゼンテーションした。
▲安田不動産のプレゼンチーム
安田不動産(東京都千代田区)は建物の原風景を継承する観点から、躯体を最大限に活用してさまざまな機能を持つホテルとして再生、世界中から前橋に人が集まる「新たな目的地」とする提案を示した。
既存のプールのある中層階を周辺地域から見える空中庭園にするとともに、中央通り商店街から続く「ソトヒロバ」と既存のホールの機能を高めた「ナカヒロバ」を融合。ホテルは上層部に設け、最高の眺望で世界から来訪者を呼び込むと構想している。
▲空中庭園のイメージ
▲全体像。街に開かれている
ナカヒロバについては、高崎芸術劇場のプロデュースを手掛けたシアターワークショップ(東京都渋谷区)が担当した。段床型固定席の現在のホールを平土間可変型にすることで、これまでの発表会やセミナーだけでなく、ゲーム大会やダンス、ホテル利用者を呼び込むパーティーや交流会など幅広い用途に対応できると改修の利点を説明した。
安田不動産の担当者は冒頭、「当初は解体して新しい建物を新築する方向だったが、現地を見て迫力ある建物を壊すのは難儀だと思った。眺めがよく、街を活性化するにはこの躯体を活用する方がよいと考え直した」と改修計画に変更した思いを訴えた。
ホールを成立させる福祉施設
群馬県を含む全国20都道府県で高齢者施設や児童施設を運営している湖山医療福祉グループ(東京都中央区)は「福祉と交流の拠点施設」構想を発表した。
現在の建物を解体、地上13階地下2階の建物を新築する。1、2階は2つのホール、3階から10階までを240人収容の特別養護老人ホーム、11、12階を職員寮として利用、13階は「いきいきプラザ」として、スポーツジム、アートギャラリー、図書館などを設け地域に開放するとしている。
湖山医療福祉グループのプレゼンター
代表の湖山泰成さんはzoomで参加、ホールの運営について、「文化ホールを期待されているようなので映画やコンサートが可能となる」とPRした。ホールの運営が全国的に厳しい状況にある中、「現実的には民間だけというのも、税金で支えるというのも経営が成り立たない。私どもは現実にやっています。それは中心に医療や介護をしているから」と指摘、グループが運営を委託されている千代田区や港区の施設での実績を強調した。
「夢がある」「現実的」
2社のプレゼンを聞いた参加者は初めて知らされた事業内容に感心したり、興味を示した。
40代の女性は「安田さんのプランは夢がある。こんなのが実際に出来たら、街はすごくおしゃれになり、にぎわう。新しいランドマークになるでしょう」と興奮気味に話していた。
建築家の50代男性は「設計の発想がすごい。減築により安全性を高めながら、空中庭園や広場でホテルの潜在的な魅力を引き出している。ぜひ、この目で見てみたい」と実現を期待していた。
▲多くの市民で埋まった会場
ホールの存続を求めている音楽関係の70代男性は「2つのプランにホールが盛り込まれていてうれしかった。安田さんのは理想的で、湖山さんのは現実的。どちらも理論がしっかりしていた」と評価した。
一方、60代の男性は「両社とも素晴らしい提案だった。なぜ、こういう提案が最終審査に残らなかったのか、大いに疑問を持った。前橋市は何が悪かったのか改めて説明する義務がある」と要望した。
進む民間主導のまちづくり
シンポジウムの第1部は国土交通省都市局総務課長の光安達也氏が「まちづくりの方向性」と題して基調講演した。行政が厳しい財政状況と人手不足にある中、既存ストックの活用や民間主導が進み、コンパクトシティやウォーカブルなまちづくりが求められていくと見通しを解説した。
▲宇留賀敬一さん(右)と光安達也さん
▲小野裕之さん(右)と泉山塁威さん
第3部は市民との公開討論が開かれ、前橋デザインコミッションの宇留賀敬一代表理事らまちづくりの専門家3人と参加者で、前橋テルサのあり方を入口に中心街の未来を語り合った。


