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【萩原朔美の前橋航海日誌Vol.56】
雨後の散歩は心の探究

2026.04.06

【萩原朔美の前橋航海日誌Vol.56】
雨後の散歩は心の探究

 

 雨の後に散歩すると、面白いカタチに遭遇するから楽しい。思わず撮影してしまうのだ。

 今日は、駐車場で発見した。夜雨が降ったので、朝出勤した車の跡が不思議な形だったのだ。こういう図像が何に見えるかによって、人の内面が透けてみえる。ロールシャハテストみたいなものだろう。今朝は、すぐに半島や国の形に見えた。昨今のニュースに影響されているに違いない。早く、雲や綿飴や女性の横顔に見えてくる世界になってほしいものだ。

 そういえば、子供の頃ロールシャハテストを受けた時、どれを見ても昆虫の顔にしか見えなかった(笑)。あの時の私は一体どんな心を抱えていたのだろうか。

 雨後の散歩は、心の探究みたいなものなのだ。

 もちろん、散歩は帰る家があるから楽しい。帰る家が喪失してしまったら、散歩ではなく放浪や逃走になってしまう。いつまでも散歩して面白いカタチを見つけたいものだ。

Sakumi Hagiwara

萩原朔美(はぎわら・さくみ)

 1946年11月、東京都生まれ。寺山修司が主宰した「天井桟敷」の旗揚げ公演で初舞台を踏む。俳優の傍ら、演出を担当し映像制作も始める。版画や写真、雑誌編集とマルチに才能を発揮。世田谷美術館に版画、オブジェ、写真のすべてが収蔵されている。著書多数。多摩美術大学名誉教授。2016年4月から前橋文学館館長(現在は特別館長)。2022年4月から金沢美術工芸大客員教授(現在は客員名誉教授)、2023年7月から前橋市文化活動戦略顧問。