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何を食べても美味しかった
キッチン大和、悲しすぎる閉店

2026.03.29

何を食べても美味しかった
キッチン大和、悲しすぎる閉店

 前橋市の老舗食堂「キッチン大和」が3月中旬に閉店した。ほっとするカレーライスに正統派のラーメン、懐かしのナポリタン…。和洋中、何でもあり、何を食べても美味しかった。半世紀にわたって常連に愛された昭和が香る一軒。サクラの季節にひっそりと暖簾を下ろした。店主は27日、病気のため亡くなった。

昭和の職人の矜持と技術

 ドン、ドン。とんかつや生姜焼きを頼むと、大きな肉の塊を冷蔵庫から取り出して切り分け、よく叩いて筋切りをする。作り置きはせず、注文ごとに一から作るのがご主人、大木和明さんの矜持だった。

▲麺を茹で加減を確認する大木さん

 チキンライスを薄焼き卵で包むオムライスの仕上げはほれぼれする腕前。レバカツの火の入れ方が絶妙だった。

 メニューは100以上。忙しい昼時もばらばらに寄せられる注文を手際よくさばいていった。

▲人気のラーメンとカレーのセット

▲ナポリタン

▲豚肉の唐揚げ

 前橋三中通りに1975(昭和50)年、店を開いた。長く夫婦で切り盛りし繁盛した。2年近く前に奥さんが亡くなってからは、ほとんど1人で店に立ってきた。常連は配膳や片づけを手伝った。

▲閉店を告げる貼り紙

 店の入り口に手書きの貼り紙が出されたのは3月20日ごろ。「この度、店主病気の為、閉店する事になりました。長い間、ご愛顧いただきありがとうございました」とあった。

 閉店して1週間ほどした3月27日。大木さんは静かに息を引き取った。