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小川市長、市議会解散は困難か
選挙費用かけたくない思惑

2025.11.24

小川市長、市議会解散は困難か
選挙費用かけたくない思惑

 前橋市の小川晶市長が既婚の男性市職員と複数回にわたってラブホテルで会っていた問題を受け、前橋市議会は11月27日、不信任決議案を採択、可決される公算が高くなっている。可決された場合、小川市長には①10日以内に辞職②市議会解散③11日目に自動失職-の3つの選択肢があるが、このうち、市議会の解散は小川市長のこれまでの言動から行使しないとの観測が浮上している。市議会選挙と出直し市長選が行われた場合、合わせて2億5000万円が不毛な選挙に費やさられてしまうからだ。

市議会選、市長選で2億5000万円

 小川市長は不信任決議案可決の対応に関して、これまで市議会解散の選択肢を排除していない。

 一方、出直し選挙には、どのタイミングになるかは分かりませんけれども、選挙ということになれば、しっかり出直ししたい」と立候補の意思を明言している。

 市議会解散が困難と考えられる最大の理由は選挙に掛かる莫大な費用だ。

▲出直し選に出馬意欲をみせる小川市長

 前橋市選挙管理委員会の試算では市議会選には1億5000万円が見込まれる。2025年2月に開かれた前回の市議選をもとに算出しているが、立候補者が想定より増えるとさらに膨らむ可能性がある。

 前回の選挙から間もなく、解散後の選挙に現職は全員が立候補するとみられる。現有勢力では定数38(欠員1)のうち、不信任決議案に賛成するのが32人、反対が5人の見通し。

不信任案、再可決は過半数

 地方自治法によると、新しい市議会による不信任決議案の再可決には全議員の3分の2以上が出席し、過半数が賛成することが求められている。4分の3以上の賛成が必要な1回目に比べて可決がかなり容易になる。市長支持派の現職に加え、大量の新人が当選しない限り、解散しても小川市長を取り巻く状況は厳しい。

▲解散された場合、新しくできる市議会も辞職を迫るのは必至

 2度目の不信任決議案が可決されると、地方自治法に基づき、小川市長は可決された日で失職となる。

 市選管の試算では市長選に掛かる経費は概算で1億円。市議会選と市長選を行った場合は合計2億5000万円掛かることになる。

 小川市長は市長職を続投する理由について、これまでの市民対話会や定例記者会見で市政の推進とともに、選挙に掛かる経費の問題を度々口にしている。「費用を掛けてもらいたくないという市民の声も一定数ある」「議会がお金を掛けても出直し選挙しろというならやらざるを得ない」と訴え、選挙に経費を掛けることに否定的な考えを示している。

 市議会の解散はこうした主張と矛盾することから、解散はせずに辞職か失職を選択するとの見方が強い。

「解散の大義名分なし」

 辞職を求める市議の一人は「市政が混乱しているのは市長個人の問題であって、市議会を解散する大義名分はまったくない。解散するとすれば暴挙でしかない」と牽制。別の市議は「解散になれば、争点は小川氏の支持か不支持かになる。全国的な問題になっており、前橋市民の良識が問われる」と訴える。

 市長の支持者の中にも「潔く自ら辞職し、市民に信を問うべき」との声がある。11月14、15日に開かれた公開市民対話会で市長自身が辞職を明言するよう求めた支持者もいるという。

 前橋市の幹部職員は匿名を条件にこう話した。「電話応対で罵声を浴びせられるなど、市職員は疲弊している。市議会選、市長選と続けるのは勘弁してほしい」

▲記者会見にはキー局のカメラクルーも参加、全国に情報が発信される